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『コンプレックス・エイジ』(佐久間結衣)ロングレビュー! オタクへの偏見、2次元への逃避、自意識がうずく

2014/09/24


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『コンプレックス・エイジ』第1巻
佐久間結衣 講談社 \570+税
(2014年8月22日発売)


片浦渚、26歳。昼間の顔は、派遣社員。仕事は趣味のための資金を得るもの、家に帰ってからが本当の自分になれる時間だ。大好きなアニメの世界に浸り、コスプレイベントのための衣装作りに余念がない。
渚はちょっと名の知れたコスプレイヤーだ。アニメに限りなく忠実な自作衣装、メイク技術やポージングも日々研究を欠かさず、素人ばなれしたクオリティを実現している。「写真お願いします」と声をかけられれば、もちろんキャラになりきって応じる。全精力を傾けるのはアニメ『マジカルずきん☆ウルル』のヒロイン・ウルルのコスプレで、自分こそだれよりも2次元のウルルに近いと信じているほどだ。

キャラへの思い入れがハンパなく、完璧主義者の渚。本気すぎるあまり、初対面のコスプレイヤーにダメ出しをしてしまう。

キャラへの思い入れがハンパなく、完璧主義者の渚。本気すぎるあまり、初対面のコスプレイヤーにダメ出しをしてしまう。


そんなある日、イベント会場の雑踏のなかでだれかが放った言葉が、鋭い刃物のように彼女を傷つけた。
「デカババア キモッ」……。
ウルルを体現するには身長が高いことが唯一の弱点で……それを気にしていた渚の心に、「デカババア」という言葉は澱のようにべったりと貼りついて離れなくなる。

また、渚を尊敬するコスプレ初心者・栗原綾との出会いが、さらに心をかき乱すきっかけになる。小柄でいかにもかわいらしいルックスの綾に、渚は羨望を感じずにいられない。さらには、綾の悪気のないひとこと「どうして(コスプレをやっていることを周囲に)隠しているんですか?」という言葉に、自分のなかの矛盾を指摘されたような気持ちになるのだった。

コスプレ初心者・栗原綾と出会った瞬間、「自分はだれよりもウルルに近い」という自信が揺らぐ。

コスプレ初心者・栗原綾と出会った瞬間、「自分はだれよりもウルルに近い」という自信が揺らぐ。


単行本情報

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