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『塩田先生と雨井ちゃん』 第2巻 なかとかくみこ 【日刊マンガガイド】

2017/06/21


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『塩田先生と雨井ちゃん』

  
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『塩田先生と雨井ちゃん』 第2巻
なかとかくみこ イースト・プレス ¥725+税
(2017年5月17日発売)


高校生の少女・雨井ちゃん。担任の塩田先生。
雨井ちゃんの猛アタックが実り、今は人にはいえない恋人同士。

この作品には背徳感はほとんどない。
いちおうは「ほかの生徒に見られたらまずい」と隠してはいるものの、2人で過ごす時間はたまーにするキスくらいで、いたって健全。
暗くなる前に必ず塩田先生は雨井ちゃんを家に帰す。
過剰なコミュニケーションは避け、雨井ちゃんがベタベタひっつこうとすると塩田先生はするりと受け流す。
もっとも雨井ちゃんも熱烈なわりに、エロいことは極端に苦手なため、過ちが起きそうな感じはまったくない。

塩田先生は、雨井ちゃんに対してあくまでも“先生”である態度を貫き続けている。
好き好きいってくる生徒の好意を受け入れた、以上の反応はあまりしないし、自分から「好き」といったのは2回だけ。
これ自体が大人の魅力っぽくてかっこいい。
しかしそのじつ、雨井ちゃんは彼にとって欠かせない存在になっていて、四六時中彼女のことを考えてしまったり、だれかが雨井ちゃんと仲よくしていると嫉妬したり、心配した時は強く抱きしめたり、露出の高い服は危ないと肌の隠れる服を着せたり。
大人になったからといって、やっぱり「好き」になったら余裕なんぞない。

第2巻のエピソードで、塩田先生が謎の紙包みを隠し持っているシーンがある。
これは雨井ちゃんが、塩田先生にかつてアタックしていた時に送ったラブレターの束。
つきあう前に塩田先生は「お前の手紙全部読まずに捨ててるから」といい続けていた。
しかし、塩田先生はその大量のラブレターをすべて、大切に保管していたことが判明。
そんなの、雨井ちゃんじゃなくても泣いちゃうじゃん……。

お互いが好きなのを、態度や言葉で示しあっているので、特に雨井ちゃんは現状の関係を心から幸せに感じている。
先生と生徒という垣根が、あまり歯がゆく感じない。
「だって私 必ず先生と幸せになりますから」という雨井ちゃんの顔の安定感たるや。
心の底からほっとできる、年の差恋愛物語だ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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