このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

『バタフライ・ストレージ』 第2巻 安堂維子里 【日刊マンガガイド】

2017/07/11


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『バタフライ・ストレージ』

  
butterflystorage_s02

『バタフライ・ストレージ』 第2巻
安堂維子里 徳間書店 ¥620+税
(2017年6月13日発売)


『バタフライ・ストレージ』は、『世界の合言葉は水』『妖精消失』など叙情的でファンタスティックなSFを描いてきた安堂維子里の新シリーズ。
上記2作が“静”ならば、本作は“動”!
ハードなアクションとつくりこまれた世界設定、立ちまくりのキャラで読者を引きこむ、近未来SFとなっている。

人が死ぬと魂のデータが蝶として抜け出て肉体は急速に朽ちる近未来。
日本は蝶を凍結保管しサーバに納め、ビッグデータとして運用している。
主人公の小野百士は、その蝶を回収し、守る国家機関“死局”特殊捕蝶班の一員。
だが、14年前に何者かに奪われた双子の妹の蝶を探すため、蝶を裏取引する組織を取り締まる任務で暴走する……。

度を越したシスコンで蝶に執着する青年・百士と、にこやかで腹黒なタヌキ系上司・田中を筆頭とした特殊捕蝶班の面々のドラマは躍動感あり。
第2巻では彼らが死局に所属する理由も徐々に明かされて、物語に厚みが増してきた。

人の魂が蝶になるというイメージは、古来の神話や伝説にも見られる。
そこをフックに警察系チームものとSF設定をうまく絡めた『バタフライ・ストレージ』。
魂が翅(ハネ)を休める場所はどこにあるのか?



<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
The Difference Engine

単行本情報

  • 『バタフライ・ストレージ』 … Amazonで購入
  • 『バタフライ・ストレージ』 … Amazonで購入
  • 『世界の合言葉は水 安堂維子… Amazonで購入
  • 『妖精消失』 Amazonで購入
  • 『Silent Blue』 Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング