365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
7月27日はフィンセント・ファン・ゴッホがピストル自殺を図った日。本日読むべきマンガは……。
『さよならソルシエ』 第1巻
穂積 小学館 ¥429+税
「自分の耳を切り落とした」という逸話が残っている画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。
7月27日は、彼がピストル自殺を図った日である。
狂気の天才――。彼はしばしばそう評される。
そして、彼の人生には謎も多い。その死因についても本当に自殺だったのか議論が交わされている。
『さよならソルシエ』は、そんなファン・ゴッホの人生を弟・テオドルスの視点で描いたマンガだ。
本作は『式の前日』で鮮烈なデビューを果たした気鋭の漫画家・穂積の作品。
「このマンガがすごい!2014」オンナ編では第1位に輝いている。
主人公は、ファン・ゴッホの弟であり、画商として名を馳せるテオドルス。
彼はパリに蔓延する「芸術は上流階級のものだ」という空気を打ち破るべく、常に権威と闘い奮闘している野心家だ。
物語はテオドルスの前にファン・ゴッホが現れたことから大きく展開していく。
だれもがうらやむ才能を持ったファン・ゴッホ、それを世に知らしめようと画策するテオドルス、そして彼らの前に立ちはだかるアカデミーの重鎮たち。
やがて、2人のゴッホに死の気配が忍び寄っていく……。
本作では、ファン・ゴッホの死に独自の解釈を加えて描いている。
耳を切り落としたこと、ピストル自殺をしたこと。
それらはテオドルスがつくりあげた、創作なのだという。
では、彼はなぜ兄の死をそのように偽ったのか。そこにある真意を知った時、読者は初めてタイトルにこめられた意味を理解するだろう。
ファン・ゴッホの死の背景には、もしかしたら本作のようなストーリーが秘められていたのかもしれない。
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。