『オーバーレブ!』第1巻
山口かつみ 小学館
高校陸上部の短距離選手だった志濃涼子は、大会でアキレス腱を痛めて陸上引退を余儀なくされてしまう。そんな彼女が出会ったのは、車で“走る”こと。女性ドライバーのドリフト技に魅せられて、仲間たちとともにカーレースに情熱を燃やすことになる。
主人公・涼子は、作中、栃木サーキット(実在する日光サーキットがモデル)で行われるドリフト大会に参戦することになるが、くしくも日本人女性で初めて自動車免許を手にしたのは、栃木県出身の渡辺ハマさん。
1917(大正六)年、当時23歳だった彼女が警視庁の自動車運転免許試験に合格して、日本では女性として初めて自動車運転免許証を取得したことで、9月27日は「女性ドライバーの日」となっている。
ハマさんは東京の自動車学校に入学して、自動車商会で運転手見習いをしながら試験に挑戦し、女性ながらかなりの技量で、試験官たちも舌を巻いたという。『オーバーレブ!』にも涼子はじめ数々の凄腕・凄技を持つ女性ドライバーたちが登場するが、今も昔もオンナは強しということなのだろう。
ちなみに涼子は、高校を卒業すると解体屋で働きながらレースに臨み、最終的にラリードライバーの道へ進んでいく。「女性ドライバー」の日に、彼女のカッコよさとかわいらしさをぜひ堪能してみてほしい。
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。