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『TURNING POINT』 松本大洋、浦沢直樹、カネコアツシ、小池桂一、寺田克也、エンキ・ビラル(著)ほか 【日刊マンガガイド】

2017/10/30


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『TURNING POINT』



TURNING POINT_s

『TURNING POINT』
松本大洋、浦沢直樹、カネコアツシ、小池桂一、寺田克也、エンキ・ビラル(著)ほか
飛鳥新社 ¥2,200+税
(2017年9月26日発売)


日仏米のマンガ、バンド・デシネ、アメリカン・コミックスの名手たちの競演。オリジナルの短編を14作もコンパイルした、じつにぜいたくな1冊。

参加しているのは『フロム・ヘル』であのアラン・ムーアとタッグを組んでいたエディ・キャンベル、『ラストマン』『塩素の味』『ポリーナ』のバスティアン・ヴィヴェス、『青い薬』のフレデリック・ペータース、『ムチャチョ ある少年の革命』『チェルノブイリの春』のエマニュエル・ルパージュらのほか、日本のマンガ勢は浦沢直樹、松本大洋、カネコアツシ、そして小池桂一という顔ぶれ。

なかでも『ウルトラヘヴン』の小池桂一の短編「FISH」は強烈。
釣りあげた魚を活け造りにして食べるのかと思いきや、魚の頭部に謎の電極を挿しこんで意識をリンクさせ、出生するまえの胚発生の段階から互いの一生を辿りなおし、魚が釣られたその瞬間まで時間がすすんだところで遠く水平線のかなたにキノコ雲が浮かび、今度は脳とキノコ雲が重なるという超絶展開。
そのあとさらにおかしくなる世界が描かれており、海外コミックスに親しんでいない小池ファンにも強くオススメしたい内容になっている。

エマニュエル・ルパージュの「目覚め」もすばらしい。
少年時代の合宿で経験した子どもじみたささやかな暴力事件を軸に、ほとんどモノクロで描く回顧的な作品。少年たちの髪や肌のやわらかさ、夏の日差しや草花の匂いまで、繊細きわまりない筆づかいで表現されている。
写実的ななかにあって、主人公が経験する「目覚め」だけが抽象的な原色の水泡のように鮮烈な印象を残す。
「あれは何だったのだろう」という曖昧な記憶を捉える手さばきの見事さには驚くほかない。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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