『これだからアニメってやつは!』第2巻
峠比呂 KADOKAWA \552+税
(2014年10月23日発売)
アニメーションを作る時に参加しているのは、なにも絵を描くアニメーターばかりではない。
絵は描かない、だが最初から最後まで、すべての工程を受け持たなければいけない仕事がある。それが「制作進行」だ。
南坂ちさとは、アニメ作りのためほぼ寝ずに働いている制作進行担当。
ぎょっとさせられるのは、彼女がラブホにいく話をしたり、ベッドシーンがあったりすること。
29歳。この年齢の女性が、プライベートで異性と関係を持つのは自然。とはいえページをめくってすぐにラブホに行く話をするヒロイン(しかもアニメ作りのマンガで)は、ちょっとめずらしい。
ちさとの生活と心理を、この作品は赤裸々に描いている。
問題は、彼女のプライベートが、アニメ制作によって次々失われることだ。
アニメで制作進行をするということは、ほかの人のペースにあわせていかなければいけない。デートに行きたくても、相手が原画をあげてきたら、まっさきに原画マンのところに向かわなければならない。自分の時間を保持することは、極めて難しい。
こんなハードな仕事なのに、彼女はやめられない。やめようとしない。
転職することだってできるだろうアニメ業界のなかで、別の道をたどることだってできる。しかし彼女は「制作進行」を続ける決意をする。
作中に出てくる人間は、みんなバカだ。本当にアニメバカだ。だから、読んでいて全員、愛しくてしかたがない。
本当に、これだからアニメってやつは!
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」