『星上くんはどうかしている』第1巻
アサダニッキ 講談社 \429+税
(2014年11月13日発売)
双子のイケメン、星上求と星上望。
求はキラキラ王子様スマイルで、学校みんなの人気者。ところが望は極度な人見知りで、いつもキョドっている。
いつもぼっちな望。お前ならあいつと一緒にやれるだろ、と風紀委員を任されたのが、ヒロインの三毛野だった。
三毛野はいわゆる八方美人。だれとどう距離をとって、どのくらいの位置で、どの程度ふるまえばいいかを計算している。
しかしそれは周囲を傷つけないようにしているからであることを、望は見抜いて尊敬している。だから彼も、三毛野と友だちになりたいと願う。
人間関係の「虚」の残酷さが、むき出しになっている。
女子グループは今までずっと仲良しだったのに、手のひらを返すように三毛野いじめをはじめる。教科書は破られ、傘は折られ、体育の時間はハブられる。
三毛野は意外と攻撃に凹んでいない。彼女自身、ポジションどりしているずるさを理解している。
だからこそ、純粋に「友だちになりたい」という望に惹かれていく。
望は、クラスで嫌われている不良の青年とも、三毛野に手のひらを返した女子とも、仲良くしたいという。難しいかもしれない。けれど計算のない彼はとても魅力的だ。
三毛野は、望に友だちが少しずつ増えてきたことで、寂しくなってきてしまう。
……はいお嬢ちゃん、それって、アレだよアレ。
ハードな人間関係の問題も、星上兄弟のユニークなキャラと明るい絵柄でうまく彩られており、スイスイ読むことができる。読後にニヤニヤ笑える感覚と、喉にひっかかるもどかしさ両方が残る。
ほんと、高校生の人間関係は繊細で、難しい。どうかしている。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」