『この世界には有機人形がいる』
蜈蚣Melibe 太田出版 \1,000+税
(2014年11月20日発売)
過激な人体改造作品を発表し続けてきた作者による最新刊。
著者のライフワークと言われる、この『有機人形』シリーズが、何かと騒がしいこのご時世に一般の出版社から刊行されたということで、作風を知る一部の人々のあいだには衝撃が走った。シリーズに属する『バージェスの乙女たち』(青年向け作品)は、長く絶版状態にあったが、本作と同じ太田出版から電子書籍版がリリースされている。
本作は、遺伝子操作により生み出された人工生命体「有機人形」を軸に、彼らを愛し、利用し、作り出した人々を描くもの。
きわめてSF的な設定でありながら、良質のSFがしばしばそうであるように、リアルな現実への眼差しをしっかりと保っている。
絵柄については、好き嫌いがわかれるところだろうが、マンガ表現のひとつの極北であることは間違いない。
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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