『激マン!マジンガーZ編』第1巻
永井豪&ダイナミックプロ 日本文芸社 \600+税
(2014年11月29日発売)
永井豪『激マン!』の続編、『激マン!マジンガーZ編』のコミックス第1巻が、ついに発売された!!
前作「デビルマンの章」では、著者の代表作『デビルマン』連載の経緯が語られたが、本作では表題にあるとおり、『マジンガーZ』の誕生秘話が描かれる。
主人公は引き続き永井豪本人をモデルとしたキャラクターだが、「デビルマンの章」とはビジュアルイメージが異なり、名前も「ながい激」から「ナガイ激」にマイナーチェンジ。その理由も本編で語られる。
「デビルマンの章」では、作家としての苦悩が克明に綴られた。いわば作家性こそがテーマであったといえるだろう。
しかし今回の「マジンガーZ編」では、根本にあるのは同様にクリエイターとしての発想だが、それを企画として押し通すためのプロデューサー的側面にスポットが当てられている。
マンガ、アニメ、玩具展開といったメディアミックスのビジネスモデルが、まだ現在のような形では確立していない時代の話。企画を通すために、出版社やテレビ局の海千山千の猛者たちと互角に渡り合い、ときに譲歩するなどの戦略性が、なかなか興味深い。
プレゼンや交渉の駆け引きシーンは、ビジネスマンにも共感を得られる部分かも?
なかでも「週刊少年ジャンプ」編集部との会食シーンは、一見して和やかなのに緊迫感バツグン。
そもそもこの作品自体が「きわめてノンフィクションに近いフィクション」との位置づけであるため、当然のことながら、編集部側4名にはモデル(実在の人物)が存在する。「少年ジャンプ」3代目編集長・西村繁男の著作『さらば、わが青春の「少年ジャンプ」』(幻冬舎文庫)を読むと、この会食シーンが、より味わい深いものとなる。
そしてこの「マジンガーZ編」には、故・石川賢(代表作『ゲッターロボ』シリーズなど)が、満を持して登場。
主人公(著者である豪ちゃん自身)と一緒に、和気あいあいと作品づくりにいそしんでいる姿を見ると、永井豪&ダイナミックプロのファンは、感涙にむせぶこと必至だ。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama