『黒子のバスケ』第30巻
藤巻忠俊 集英社 400円+税
(2014年12月4日発売)
バスケットボールを題材にした人気マンガの最終巻。
最後の表紙を飾るのは、作品中も表紙でもこれまで無表情なことが多かった、主人公・黒子テツヤの爽やかな笑顔だ。
最終巻の舞台は、「キセキの世代」と言われた天才プレーヤーのなかでも最強の存在である、赤司征十郎が率いる洛山高校と、キセキの世代からも一目置かれた存在である黒子テツヤ、そしてキセキの世代を超えうる素質を持った火神大我の所属する誠凛高校との対決。
無敗だったはずの赤司が黒子と火神との対決でついに敗れ、一度は自分を見失いながらも本来の実力を取り戻し、「キセキの世代」の時代を超える圧倒的な力に目覚める。
一方の黒子と火神も、覚醒した赤司との戦いの中でさらなる力を発揮。
互いにに譲らぬ攻防が続くなか、ついに両校の過酷な戦いが幕を閉じる。
最強だったはずの赤司が自我を崩壊するほど落胆し、それを自ら乗り越えてさらなる力を手にするシーンは、本巻はもちろんシリーズ全体を通じても印象的なシーン。
それなのに、覚醒した赤司のエピソードはあまりに短く扱われ、本当の実力を手にしたと思ったら、すぐに試合が終わってしまう。せっかくの名場面だっただけに、本巻の内容は2巻、3巻と続いてもよかったのではないかとすら感じてしまう。
ともあれ、黒子のバスケ本編は本巻で終了するが、後日談を描くという新連載が、12月29日発売予定の「少年ジャンプNEXT!!」(2014 vol.6)からスタート。
『黒子のバスケ』ファンの楽しみは、まだまだ続きそうだ。
<文・甲斐祐樹>
IT系ライターながらマンガも大好き。著書は「スマホ&タブレット“二刀流”仕事術。」「Chromecastの使い方」など。
個人ブログは「カイ士伝」