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1月21日は原子力潜水艦ノーチラス号が進水した日 『沈黙の艦隊』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/01/21


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新装版『沈黙の艦隊』第1巻
かわぐちかいじ 講談社 \952+税


1954年1月21日は、世界初の原子力潜水艦ノーチラス号が進水した日である。
「原子力海軍の父」と称されたアメリカの軍人ハイマン・G・リッコーヴァー大佐の指導のもとに開発が進められ、進水式にはアイゼンハワー大統領も参列した。
翌年、原子力による処女航海でテムズ川を渡った際に「本艦、原子力にて航行中」と打電した信号は有名だ。

その性能上、原潜は国の核戦略を担う重要な存在となっているが、日本の場合、兵器に関する「非核三原則」(もたず、つくらず、もちこませず)の合意が存在するため、自衛隊には配備されていない。
日本の安全保障政策の基本方針となる「防衛大綱」でも何度か検討されたが、結果的に断念している。

さて、原潜が大活躍するマンガ作品といえば、かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』だ。
日米の最新技術を投入した最強兵器「原子力潜水艦シーバット」は、日本が巨額の開発費用を投じながら、世論を鑑みて、所属はアメリカ第7艦隊となった。
ところがシーバットの乗員に選ばれた海江田四郎は、試験航海中に叛乱を起こしてシーバットを占拠。逃亡後、海江田はみずからを国家元首として、独立国家「やまと」を全世界に宣言。核兵器を積んだ(かもしれない)原潜が、国家としての独立を宣言したのである。
この「やまと」をめぐり、世界各国が右往左往することになる。

物語前半では、「やまと」を亡きものにしようとする各国の原潜と手に汗握る水中戦を繰り広げ、中盤以降は独立国家「やまと」を承認するか否かの政治劇が展開されていく。われわれ読者は、抑止力とは何か、安全保障とは何か、国家とは何かをいやおうなく考えさせられる。
連載開始は1988年。米ソ対立の冷戦構造下での舞台設定だったが、連載中に冷戦が瓦解していったのも印象深い。

戦後70年。冷戦が崩壊し、アジア情勢に火種がくすぶり続けるいま読み直してみると、以前とは違った感想を抱くかもしれない。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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