『満腹百合』
宮部サチ 徳間書店 \620+税
(2015年2月13日発売)
ゆるふわ系かわいい女子で、五合メシを軽く平らげる大食いの、ののか。
キリリとした外見で、マメに気を使える料理上手な女性小説家、あや。
2人は同棲中のカップル。
あやが作り、ののかが食べる。おいしいご飯でおなかいっぱいになったら、ベッドのなかであやがののかをおいしく「いただきます」。
百合と食を組みあわせた、ありそうでなかったマンガ。恋愛欲求も食欲も、欲望には変わりない。2人で食べる食事と性生活は、多幸感いっぱい。
食べるものも、あまり女子力とか関係なくモリモリ食べるのが気持ちいい。黒毛和牛の焼き肉、バター醤油ごはんに焼肉タレごはん、豚のしょうが焼き。パンケーキは練乳でダクダク。
ののかが満面の笑みで食べる様子を見ていたら、そりゃあ抱きしめたくなるのもしかたない。
前半はあやが完璧にののかの食生活をサポートする様子が描かれている。しかし途中から、あやがののかとの生活に不安を覚え始める。
あまりにもあやはののかのことを好きになりすぎてしまい、この生活がいつか崩れるのではないかとおそれるのだ。あやが料理を作るのは、この不安ゆえにののかをつなぎとめていたのも見えてくる。
食事は人と人の絆。女の子カップル2人の心のゆれ動きが、食事で表現されているのはお見事。
食マンガ好きにも百合マンガ好きにもオススメ!
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」