『ゴールデンカムイ』第2巻
野田サトル 集英社 \514+税
(2015年2月19日発売)
生きるか死ぬか、食うか食われるか──そんな息もつかせぬ緊張のバトルと、食うこと=生きることであると実感できるダイナミックな食事。さらに「生きることへの欲望」によって輝く登場人物たち。
いま話題の『ゴールデンカムイ』の魅力を集約すると、そんなところだろうか。とにかく“ヤバい!”のである。
舞台となるのは明治後期。日露戦争帰りの元軍人である主人公・杉元佐一は、戦死した親友の願いを叶えるために、砂金での一攫千金を夢見て北海道の奥地へとやって来る。
しかしまったく成果はあがらない日々のなか、ある男がアイヌの財宝(現代の価値に換算すると約8億円!)をひとりで強奪して財宝を隠し、その彼が収監されたのち財宝を隠した場所を、複数の囚人の体に刺青として残して脱獄させたという話を聞く。
それが単なる与太話と思いきや、目を覚ますとその話をした男が「しゃべりすぎた」といきなり杉元を襲撃。危機を脱した杉元は逃げた彼を追うのだが、またしてもいきなり、今度は彼がハラワタをえぐられて死んでいるという急展開。
その男こそが刺青の囚人のひとりであると判明し、がぜん埋蔵金伝説の真実味は増すのだが、彼を殺した相手は凶暴な野生のヒグマ! 財宝の手がかり(=死体)を背負って逃げようとしたところに、全力でヒグマが突撃してくる。
まさに一難去ってまた一難というピンチの連続だが、その状況を救ったのが、狩りをしていたアイヌの少女・アシリパ(※正確な表記は「リ」が小さい)である。
事情を説明しようにも、こんな話はまず信じないだろうと杉元は埋蔵金伝説をアシリパに話すのだが、あっさり信じる彼女。
それもそのはず、財宝をめぐって殺されたアイヌのなかに、彼女の父親がいたからである。
……と、文字で説明すると長くなってしまうのだが、じつはこれ、第1話のみの内容。
おそろしく濃密な出来事が、怒涛の展開で繰り広げられるのである。
かくして、金が必要な杉元と、父の仇を討ちたいとひそかに願うアシリパは行動をともにすることになるのだが、「互いに殺しあって皮を剥がなければ地図にならない」と気がついた脱獄囚、さらに欲に目がくらんだ屯田兵との「刺青人皮」を巡る争奪戦は、ぜひ実際に読んで“ヤバさ”を感じてほしい。
さらに囚人の親玉が、戦死したとされていたあの土方歳三! いずれ杉元と対決するであろうその戦いが、今から気になって仕方がない。