『チチチチ』第1巻
クール教信者 秋田書店 \562+税
(2015年6月19日発売)
おっぱいは、不思議なものだ。
なぜかみんな、おっぱいがあると安心してしまう。
このマンガはそんなおっぱいへの著者のフェティシズムと、おっぱいの抗いがたい魔力を描いた作品だ。
たまたまネットで出会った人とルームシェアすることになった主人公の光。しかしやってきたHN珍太郎は、超巨乳の女の子だった。
シェア相手がまさかの女子。光は、さすがにアウトだろとルームシェアを断るも、彼女は全然OKらしい。
かくして光の必死に性欲をおさえる生活が始まるかと思いきや、ラッキースケベならぬ「ラッキーパイズリ」が幾度も発生。彼女の豊満な胸の中で、光のチンコは果て続ける。
この「パイズリマンガ」のテーマは、「癒やし」と「慈しみ」だ。
ヒロイン・珍太郎は、年齢でいえば光のちょっと下。ところが背は光の倍くらい大きい。
それでいておっぱいもとんでもなくでかいため、胸に彼の身体が埋もれてしまうのだ。
だから挟まれた瞬間、即パイズリ状態で果ててしまう。
2人が絡みあった構図を見ると、おっぱいの肉に、全身が埋もれているようにすら見える。ひょろっとした光の身体は、珍太郎のおっぱいに沈んでいく。
光にはちょっとしたトラウマがある。それをだれにもいわずに彼はすごしてきた。
けど今、横には巨乳少女がいる。
巨乳少女は、傷ついた彼をおっぱい全体で、抱きしめる。
そこに言葉はいらない。優しい肉に埋もれる快感とやすらぎがあるだけ。
ここまできたらセックスシーンもあるのだろう、と思いきや、挿入はない。
2人の関係は「一線を越えた」といっていい。けれど「パイズリ」を絶対に超えないのだ。
光のことが大好きな妹はヤる気マンマンだ。でも珍太郎と光は、パイズリだけで結ばれる。あくまでもおっぱいが「女性」のすべてなのだ。
妄想のなかで光は考える。
僕はおっぱいにおもいっきり甘える。女の子にいろんなこと頼みこんじゃう。そしたらあの子は全部許してくれて、胸の谷間に顔を埋める……。
まるで胎内回帰願望がだだもれになったかのような作品。読み終わったあとのやすらぎ度は満点です。
読み続けると、だんだんおっぱいが海のように見えてくる。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」