『リボンのころ』
京町妃紗 小学館 \429+税
(2015年6月26日発売)
勘違いだとか、思いこみだとか。
一時的なものだからきっと忘れる、この先にもっといい人が現れる――生徒と教師の恋愛は、そんな常識的な言葉でいさめられてしまいがちだ。
しかしこの『リボンのころ』は、そんな幼い想いをそのまましっかりと結びつないだ、少女と青年の話である。
主人公・倉科亜子。高校2年、17歳の冬休みに初めて誘われた合コン。
男の子は優しくて楽しい――そう思っていた亜子だが、いつの間にかホテル街へと連れこまれていた。
抵抗する亜子。間一髪のところで、助けようと飛びこんできてくれた男性がいた。
名前も連絡先も告げずに去って行ってしまった彼は、亜子の王子様になった。
そして、冬休み明けの始業式。
学校でたまたまぶつかった男性が、あの王子様だとわかって亜子はびっくり。
落とした眼鏡をかけ直した彼をよく見ると、じつは数学教師の北内要だった――。
表題作の『リボンのころ』は、前・後編、そして番外編で構成されている。
本編では亜子の想いをメインに描いているため、北内の亜子への想いがあまり見えず、いくぶん唐突に思えるような部分もある。
が、それは番外編でフォローされ、全部読み終えると、ここまでピュアな禁断の恋ってすごい! と思ってしまう。
(いや、もう禁断じゃないだろう! とツッコミたくなるくらい。これ、うれしくてやってしまうツッコミです)
亜子のひたむきさも、北内の強い想いも、素直な絵柄でていねいに描かれて、きらきらと輝くようだ。
このコミックスにはあと2本の短編が収録されているが、巻末に掲載されている「6月、君とウェディング」もおもしろい。
ちょっとしたタイムスリップものだが、構成もうまく、キャラも魅力的でときめく。
こちらもぜひご一読を。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」