『東京タラレバ娘』第3巻
東村アキコ 講談社 ¥429+税
(2015年8月12日発売)
「ああだったら……」、「こうなれれば……」と仮定だらけのタラレバ女子会を繰り返すうちに、いつしか恋も仕事も崖っぷちのアラサ―女になっていた……!
そんな倫子を中心とするタラレバ3人娘のジタバタ断末魔の日々を容赦なく斬りまくり、連載開始時から筆者の周りでも「他人ごととは思えない!」「痛すぎる!」と自虐的な笑いとも悲鳴ともつかない叫びを巻き起こしている本作。
久々に恋をするも、ヤリ捨て? 不倫? セカンド女? てな始末で、もはや20代の頃とは様子が違うことに当惑し、さらにズタボロになってゆく3人娘。
そんななか、仕事で挽回のチャンスが転がりこむも「新人じゃないんだから結果出せて当たり前 コケたらあんたが戦犯ってことにされる」というアラサーのシビアな現実に直面。現実逃避の末に、チャンスをふいにしてしまう倫子。
そのくだりに挿入される「時代は移り変わる」というフレーズってば……。もう、キツすぎてしみすぎて、飲まずにはとてもじゃないが読み進められませんよ……!
いうまでもなく、本作のテーマは「著者による、迷えるアラサー独女への叱咤激励」なわけで、その愛のムチともいえるアラサー殺しギャグは、キレ味の鋭さゆえに痛みよりも快感が勝っていた感があったが、本巻ではその切り口は八方塞がりのタラレバ娘の心情に寄り添うようにズシリと重く、もはや笑いも消え、鈍い痛みだけが広がってゆく。
そんな容赦ない現実に絶えきれず、本巻ラストで新しい恋に「逃げてやる」ことを選んだ倫子。はたして3人娘の運命は、彼女たちの「幸せ」はいかに?
まだまだ目が離せません。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69