365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
11月7日はキトラ古墳で「玄武」の壁画が発見された日。本日読むべきマンガは……。
『幽☆遊☆白書 完全版』第1巻
冨樫義博 集英社 ¥1,134+税
1983年のこの日、奈良県明日香村のキトラ古墳にて、彩色された玄武の壁画が発見される。
のちの1998年の探査では青龍、白虎、そして、2001年には朱雀の壁画が発見され、いわゆる「四神」がすべて描かれていることが明らかに。
「四神」とは、中国の神話において、東西南北の四方を守る4体の聖獣のことだ。
それぞれ、東を青龍、南を朱雀、西を白虎、北を玄武が担当しており、現代でも街の中心部となる建物や、駅の四方に四神の像が配置されたりと、守り神として親しまれている。
そんなおいしい設定を持つ強そうな生き物の四神は、フィクションの世界でも大活躍。
今回は、そんな四神をモチーフとした敵として登場する『幽☆遊☆白書』を紹介したい。
霊界探偵・浦飯幽助と仲間たちの活躍を描いた本作では、序盤に「四聖獣」と呼ばれる4人の妖怪との攻防が描かれる。
朱雀をリーダーとする四聖獣は、人間界の人々を人質とし、人間界への移住権を要求しているのだ。
この事件の顛末を描いた四聖獣編では、幽助の悪友である桑原和真に加えて、それ以前のエピソードで捕らえられていた妖怪の蔵馬と飛影が、免罪のためともに四聖獣のアジトがある魔界へと乗りこむ。
のちに最終回まで続く4人組の腐れ縁はここから始まっており、記念すべき初のチーム結成といえるだろう。
肝心の四聖獣だが、特に玄武と白虎は小物感にあふれており、それほど強敵という印象を受けない。
最強感を醸しだして登場した青龍も、飛影に一刀のもと切りふせられてしまうし……。
バトルマンガの序盤に登場する強敵ということで、強さがどんどんインフレしていくその後の展開を読んでからでは、さらに残念感が漂ってしまう四聖獣。
だが、物語終盤において「霊界の上層部が、人々に魔界を悪と印象づけるために妖怪を洗脳して悪事を行わさせていた」という事実を知ってからでは、もしや彼らも洗脳されてたのか……? と、ちょっとだけ複雑な気分になる。
とはいえ、本作のヒロインである雪村螢子が操られた人間たちに襲われている様子を中継し、楽しそうに幽助をいたぶっていた朱雀は多分素の性格からして悪いと思うし、同情の余地はあまりないけど。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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