人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、谷和野先生!
2014年、デビューコミックス『いちばんいいスカート』で注目を集めた谷和野先生。
著者が紡ぎだす、少し不思議で温かい物語は、あっという間に感度の高いマンガファンたちのハートを鷲掴みにし、昨年発売された最新短編集『魔法自家発電』は、『このマンガがすごい!2016』でオンナ編12位にランクイン。
まさに今後の期待値も高い谷先生に、この独特な世界観の秘密に迫った。
谷和野流の味つけで、ファンタジックな“ボーイ・ミーツ・ガール”に
——「このマンガがすごい!WEB」10月のランキング」でも1位に輝き、注目度の高かった本作。どの話もファンタジックな魅力がつまっています。
たとえば表題作の「魔法自家発電」。通学中の女子高生が突然リンゴを落とすシーンがありますが、これってなかなかないシチュエーションですよね、天使の姿をしているとはいえ。
谷 自分でもつっこみながら描いたのですが、編集さんも何もおっしゃらなかったので、「あ、アリなんだ」と思いまして(笑)。そのまま描きました。
——これが違和感なく読めてしまうのが、やはり谷先生ならではの独特のリアリティですね。ファンタジックな作品、または要素を描くうえで、気をつけていることはありますか?
谷 ストーリーを考えるうえで気をつけていることは、読んだ人をちょっと幸せな気分にすることでしょうか。話にもよりますが……。この話もそうですが、できるだけハッピーエンドにしようと心がけてはいます。
——では、いつもお話はどのように、着想を得ているのですか?
谷 描きたい絵がきっかけになることは多いです。思い浮かんだ風景とか状況が描きたいなーという気持ちはあるんですが、たいていはストーリーにはなっていなくて。あとは編集さんに監督してもらいながらマンガの形にします。
担当 「魔法自家発電」の時は「美男美女の恋愛話を描いてみたら?」という話をしたんです。そうしたらこういうキャラクターがでてきて驚きました(笑)。
——「美男美女の恋愛話」というオーダーを受けて、先生のなかでどういった変換をしてこのようなお話に?
谷 「美男美女」といわれても、マンガのなかとはいえ、そんな器量よしが偶然集まることもないだろうと思いまして……。なので女の子のほうは幻覚にしました。
——作中では自分のことを「みにくい」と言っている男子高校生ですが……正直、この「けもの」がとてもかわいいです!
谷 そう思っていただけたならよかったです。あんまり気持ち悪くしたら、みんな読む気が起きなさそうだと思って。
——「魔法自家発電」というタイトルも印象的です。このタイトルにいたった理由などはあるのでしょうか?
谷 そういう内容(の話)だと思ったからです。