日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『はやく大人になりなさい。』
『はやく大人になりなさい。』第1巻
モリエサトシ 白泉社 ¥429+税
(2016年1月20日発売)
ダメな大人。
モラルとか常識とか、大人が持っているはずのものを全部無視して、自分の欲望に素直に生きている、そんな大人。
つまりはずるくて、悪い男なのである。
そんな彼は生物教師、白衣で眼鏡で細身長身。
好きな女子生徒のことを、ひっそりと罠を張って待っている食虫植物系変人イケメン。
――とんでもないヤツだけれど、よく考えるとこれ、相当な萌え属性持ちなのでは。
さて、そのやっかいな男と恋を始めてしまった主人公・清水南央。
小柄でマスコットの人形を愛する、とても高2には見えないオコチャマ女子。
彼女はずっと、子どもでありたいと望んでいる。なぜなら大人なんて、好きなものを好きと言えない損な生きものだから。
でも生物教師・三嵩(みかさ)は、容赦なく南央に大人の世界を教えこんでくる。
生物学的な人間の生殖についての説明に始まり、手を握る、ハグ、そして……?
ずっと子どもでいたい、恋なんて絶対にしない――そう思っていたヒロインの南央が、三嵩の手練手管でずぶずぶに恋にハマっていく、その過程がとんでもなくときめくストーリーだ。
どうしよう! というほどにドキドキするエピソードが満載で、ある意味南央は手玉に取られているのだが、それさえ読者にはとてつもない快感のはず。
特に手を握ることの意味を説明するエピソードは秀逸。
ネタバレがもったいなくてこれ以上書けないので、ここはぜひ本編でご確認いただきたいところ。
タイトルには第1巻とあるが、著者コメントによるとこれは続編が出てもいいようにという販売上の都合らしく、1巻でまとまるように描いているとのこと。
正直ぜひ続編を望みたいところだが、今はともかく三嵩のように欲望(萌え)のままに楽しむ。それが一番ではなかろうか。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」