『星空のカラス』第1巻
モリエサトシ 白泉社 \429+税
1月5日は「囲碁の日」。
由来は「1(い)」「5(ご)」の語呂合わせからで、日本棋院がだれもが気軽に囲碁に触れ、親しんでもらうことを目的に制定したものだ。
囲碁のマンガといえば、だれもが思い浮かべるのはきっと少年マンガジャンルでの大ヒット作『ヒカルの碁』だろう。
この作品の影響で、子どもたちの間で囲碁ブームが巻き起こったのは記憶に新しいところ。あまつさえ海外、特にアジアでの囲碁人口も爆発的に急増するに至った。
そこで今回は少女マンガのジャンルから、現在「花とゆめ」で連載中の『星空のカラス』を紹介しよう。
ヒロインの烏丸和歌は、プロ棋士だった祖父から囲碁の楽しみを教わるが、母には囲碁を反対されている。母は、倒れた祖母を置いて対局に向かった祖父をうらんでいるからだ。
しかし、あるとき16歳にして天才棋士と目される鷺坂に出会い、彼の対局に魅了され……。「私もプロ棋士になりたい!」と開眼するのだ。
高身長のため年上に見られやすい和歌だが、じつはまだ13歳。「年齢も性別も関係なく語り合える囲碁が好き」と、人とつながる喜びを感じる素直さがかわいらしい。
石を置きながら夜空の星座を思い、どの石も大切にしたいと願う少女らしい感性を持っていて……そうした心情がドラマティックに表現される画面は、囲碁に縁遠い人をも引きこむ魅力に満ちている。
作中やおまけスペースに登場する、初心者向けのルール解説もわかりやすく、読んでいるうちにやってみたくなってしまう。
もしかしたら何年か後、本作を読んでプロになったという少女が現れるかも!?
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」