日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-』
『牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-』第1巻
雨宮慶太(作) 苺野しずく(画) 東北新社(監) ワニブックス ¥700+税
(2016年2月25日発売)
2005年10月、深夜というオトナのスーパーヒーロータイムに殴りこみをかけ、スタイリッシュな映像表現で視聴者に衝撃を与えた特撮伝奇アクションドラマ『牙狼』。
2008年に遊技メーカー・サンセイアールアンドディからパチンコ台がリリースされて文字どおり“大当たり”、ファン層の拡大に一役買ったことから続々とシリーズ化された『牙狼』の、第4期にあたるのが『牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-』。本作はそのコミカライズ版である。
人間のネガティブな思念「陰我」が宿るものをゲートとして出現、人間を喰らう邪悪な魔獣・ホラーを退治する守護者「魔戒騎士」たちの活躍を描くのが同シリーズに一貫して流れる世界観。
魔戒騎士のなかでも心・技・体ともにすぐれた者に与えられるのが黄金騎士・ガロの称号なのだ。
『-魔戒ノ花-』の主人公は、シリーズ第1作『牙狼〈GARO〉』から劇場版第2作『牙狼〈GARO〉 ~蒼哭ノ魔竜~』までのガロ=冴島鋼牙とされる(※作中で名言はされていないため)息子・雷牙。
冴島雷牙は父の強さと母の優しさを受け継いだ“最強の魔戒騎士”で、石板に封印されていたはずが何者かによって封印を解かれ、9体のホラーに種子のかたちで潜伏して人間界に放たれた古のホラー・エイリスを追跡する。
彼の相棒は魔戒騎士の最高機関・元老院から派遣された少女・マユリだが、人間離れした言動のマユリはみずからを“エイリスを封印するための魔導具だ”と説明する……。
エイリスの種を宿した「石板のホラー」と、自然発生的なホラーの2種を追うという当たりはずれの要素や、マユリに人間らしさを取り戻すまでの成長ストーリーなど、様々な展開が予測される第1巻。
1・2話目では石板のホラー・魔獣アズダブと同時にマンガオリジナルのエロかわいくて怖いホラーもさっそく登場して、これを迎え撃つ雷牙の仲間たちも雷牙たちの裏で戦っているというマンガならではの設定が目を引く。
明るい雷牙に影のように従う魔戒騎士・幻影騎士クロウや高い戦闘能力で道に外れた仲間を粛清する魔戒法師・“闇の狩師”こと媚空が、すでに雷牙の仲間として別班で行動している点もテンポのよさを感じさせる一因だろうか。
映像作品として完成している特撮のコミカライズは何かとハードルも高い印象を受けるが、雨宮慶太総監督が太鼓判を押す著者の手腕に、よりいっそうの期待が寄せられる。
<文・富士見大>
編集・ライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)ほかに参加する。
ちなみにかつてはこういう書籍もやってました。