日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『鬼娘恋愛禁止令』
『鬼娘恋愛禁止令』第1巻
松虫あられ 徳間書店 ¥620+税
(2016年4月13日発売)
表紙の女の子かわいいなーと思って買ったのですが、真の意味でのヒロインは左の少年のほうでした。
12歳くらいの少女・鹿恋(かれん)。両親はいない。
彼女を引き取って育てている八郎とその一家。鹿恋をこき使い、厳しい言葉を吐きかけている。
特に八郎の行動は、あまりにもキツイ。
蹴るわ踏むわ噛みつくわ。とどめにタバコの煙を吹きかけるわ。
彼はわざと好かれないようにしている。
じつは鹿恋は鬼の子。人を好きになると、鬼に化けて無意識に大暴れしてしまう。
彼女を止めるためには、自分が好かれてはいけない。
正気の時になるべく距離を置いて、発動した時にタバコの煙を吹きかけて動きを止める。これが夜な夜な続いている。
だれにも言えないヒミツ。それは鹿恋に対しての恋。
幼い頃に鹿恋と交わした約束を、今もずっと大切にしている彼は、彼女に悟られまいといつも粗暴なふりをしている。
おかげですっかり町中から嫌われ者になってしまった。
それでも、彼は荒れたフリをし続ける。
なぜなら、鹿恋を守りたいから。
少年の少女に対する恋は、あまりにも一途。
彼が手に入れられる幸せは、鎮めたあと眠っている鹿恋の髪のにおいをかぐことくらい。そっと手に触れることくらい。
だれにも理解されない、されてはいけない彼の思い。読み終わったあと、猛烈に彼の幸せを願いたくなってしまう。
こんないい子、幸せにならないと嘘でしょー……と思いたいのだが、第1巻ラストはとんでもないことに。
鬼になった鹿恋も非常にキュートなので、彼女の動く姿ももっと見たくなる。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」