話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『コロコロ創刊伝説』
『コロコロ創刊伝説』著者ののむらしんぼ先生から、コメントをいただきました!
『コロコロ創刊伝説』第1巻
のむらしんぼ 小学館 ¥583+税
(2016年3月15日発売)
ガッツな笑いとド迫力!
このキャッチコピーにビビッときたそこのあなた! さては「コロコロ」読者ですね。
「コロコロ」とは、言うまでもなく小学館発行の小学生男子向け雑誌「コロコロコミック」のこと。
『ドラえもん』をはじめとする藤子不二雄作品のほか、テレビゲームや子どもたちに人気のあるホビーなど、僕らが読みたいものが分厚い誌面に「これでもか!」とばかりに詰めこまれた宝箱のような雑誌である。
「コミックボンボン」(講談社)や「わんぱっくコミック」(徳間書店)など数多くのフォロワーが生まれたものの、いずれもコロコロの牙城を崩すことはかなわず続々と休刊アンド廃刊。
創刊から39年たった現在も、子ども向け雑誌のトップランナーとしてかけぬけ続ける、まさしく王者である。
『コロコロ創刊伝説』は、そんな「コロコロコミック」を創った男たちを描く、実録コミックである。
ペンをとるのは『とどろけ!一番』、『つるピカハゲ丸』など80年代から90年代の「コロコロコミック」を盛りあげたかつての人気漫画家・のむらしんぼだ。
コロコロが創刊されたのは1977年のこと。
読者の平均年齢が上がってしまった週刊マンガ雑誌の隆盛に対し、マンガの本来の読者であったはずの子ども向けマンガが低くみられる風潮のあった当時、初代編集長の千葉和治と平山隆の2人はマンガを子どもたちのものに戻すべく、「コロコロコミック」創刊に向けて動き始めた。
まず彼らがとった行動は、ほかの雑誌の編集部のボツ投稿マンガを集めること。まるで路傍の石ころからダイヤの原石を見つけだすかのように漫画家を発掘し、そして「コロコロ」で育てていったのである。まさしくプロジェクトX。
編集者たちの熱い言葉がページをめくるたびに飛びだすが、そのいずれにも妙に説得力があるのは、やはり彼らの言葉を間近で見聞きしていたのむらが執筆しているからこそだろう。