日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『あまいぞ!男吾 傑作選』
『あまいぞ!男吾 傑作選』第1巻
Moo.念平 小学館 ¥1,200+税
(2016年3月15日発売)
太い眉毛にキラキラの瞳、ケンカ大好きの小学5年生……その名は巴男吾! 「コロコロコミック」黄金期の1986年に連載がスタートしたあの人気作が帰ってきた。
『ゲームセンターあらし』(すがやみつる)、『とどろけ!一番』(のむらしんぼ)といったムチャクチャ熱血路線を継ぐ本作は、学園を舞台にした日常モノの色が強く、当時ちょっと大人の目線から見ると“古きよき学園マンガ”の香りがしたもの。
正直これって“イマドキの子ども”に通じるのかなと思ったけれど、そんな懸念はまったく無用だった。
アホだけどまっすぐな明るい熱血漢で、友情に厚い……そんな男吾は「コロコロ」読者の心をがっちりとつかみ、単行本全16巻を数えるロングヒット作となったのだから。
空手3段の父ちゃん、柔道2段の母ちゃん、剣道初段の姉ちゃんにビシバシ鍛えられている男吾は、学校では向かうところ敵ナシのケンカ野郎。
ケンカに理由なんかいらない。勝っていばりたいわけでもない。ただただ、全力で闘うことが大好きなだけなのだ!
成績優秀、スポーツ万能な奥田姫子は友であり、よきライバル。
本作に収録された「小学生編」のハイライト、男吾と姫子の決闘シーンは何度読んでも高まってしまう。相手が女子であろうと認めた相手には手加減しない。
だけど姫子が困っている時には男らしく手を差しのべる男吾ってイイ男だなぁ、と再確認したしだい。
当時の読者であり今の30~40代をメインターゲットにした「コロコロアニキ」に発表された新作も収録。
あの頃の熱気そのまま、読めば心の底からムクムクと得体の知れないパワーがみなぎってくるのだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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