漫画家たちのドラマも、負けず劣らずアツい。
のむらの結婚式前日、『とどろけ!一番』が落ちそうとなれば、コロコロ連載漫画家たちが結集し原稿制作をアシストするし(しかも、登場するのは方倉陽二、田中道明などそうそうたる面々!)、インベーダーゲームが流行っていると聞けばゲームの「ゲ」の字も知らないすがやみつるが、ゲームセンターで「子どもたちがゲーム画面の向こうに想像している宇宙を見る」までゲームをプレーし続けたという『ゲームセンターあらし』誕生秘話……などなど、誰もが知っている「あの名作」の裏で繰りひろげられたドラマが次々と描かれるのだ。
かつて僕らがページがすりきれるほど読んでいたマンガも、本作で描かれるエピソードをふまえて読みなおすと、また新たな発見があるのではないだろうか。
最後に補足しておきたいのが、「コロコロの伝説」と並行して「今ののむらしんぼ」が描かれる点である。
大ヒット作『ハゲ丸』以降、時代の変化についていけずじょじょに仕事が減っていったのむらは収入が激減。財テクのために購入したマンションもバブル崩壊のあおりを受けて手放し、妻から離縁を言い渡され、今やすっかり借金まみれの還暦……というせつなすぎる現状も包み隠さず描かれている。
本作は、そんなのむらの捲土重来の作となるのだろうか。久々のヒット作となり、念願の家族との再会はかなうのだろうか!?
ガッツな笑いとド迫力なマンガでハッピーエンドを目指すのむらしんぼ本人からも、目が離せない!
コミックスの続きは、発売中の「コロコロアニキ」第5号で読める。 今回の、ライバル誌「コミックボンボン」登場編と、「とどろけ!一番」連載終了編の2本立ては必見!
<文・有田シュン>
ライター、編集者。シティコネクション所属。著書に『アウトサイダー・プラモデル・アート 青島文化教材社の異常な想像力』、『よみがえるケイブンシャの大百科[完結編] 』。編著に『KOWLOON'S GATE ARCHIVES』。