日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『タネも仕掛けもないラブストーリー』
『タネも仕掛けもないラブストーリー』第1巻
伊藤正臣 集英社 ¥600+税
(2016年4月19日発売)
とある高校の奇術部を舞台にした学園ラブコメ。公式のストーリー紹介にも明記されているので、まずは設定上の“タネ明かし”をご容赦いただきたい。
ワンクッション置くので、「知りたくない!」と思った諸兄は、すぐさまページを閉じるべし!
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……それでは、レビューに戻ります。
まず上部にアップされた表紙をご覧いただきたい。この頬を赤らめたキュートな女子高生が、ヒロインの奇之下(きのした)ひばりである。
彼女は奇術部の新入部員。1年生ながらものすごいテクニックの持ち主で、有名マジシャンの息子である部長の小熊沢ですらトリックを見抜けないほどだ。
思案の結果、部長はひとつの結論に達する。「君のトリックは手品ではない! 超能力だっ」
……って、そんなことあるか~い!
でも、そんなことあるのが本作のすごいところ。
とはいえ彼女の超能力はごくごくかわいいものにすぎず、1日に使える回数も限定的なのだ。
これがタネ明かし設定その1。
ひばりは高校生マジックコンテストの出場を狙っているようだが、奇術部の選抜メンバーになるには、プチ超能力をもってしても難しいところ。
そもそもだれにも再現できない“ありえない手品”を公の場で披露すれば、不正を疑われることになるからだ。
それでも、なんとか選抜メンバーに入りたいひばり。彼女が奇術部に入ったのには、手品とは無関係の秘めたる野望が隠されていた――。
タネ明かし設定その2は、あっという間に2人が恋人同士になってしまうこと。
もともと互いに気持ちはなく、利害の一致でつきあうことになったのだ(部長は彼女の能力を使ってコンテスト優勝。ひばりは部長のコネで選抜メンバーに入りを果たして野望に近づく)。
てなわけで、秘密の放課後デートで部長による基本的な手品レクチャーがスタート。
距離が縮まるにつれて2人の心境にも変化が訪れる。
利害関係から始まった2人の恋がどんなふうに転がっていくのか?
ひばりの超能力と2人がつきあっていることを周囲の人間に隠し続けられるのか?
ハラドキ必至のマジカルなラブストーリーは、これからが本番!
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てライター。現在絶賛公開中の映画『殿、利息でござる!』の劇場用プログラムに参加しております。
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