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6月5日は「京王プラザホテル」が開業した日 『漂流教室』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/06/05


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

6月5日は京王プラザホテルが開業した日。本日読むべきマンガは……。


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『小学館文庫 漂流教室』第1巻
楳図かずお 小学館 ¥580+税


6月5日は新宿に京王プラザホテルが開業した日である。

1971年6月5日に開業した同ホテルは、178メートル(地上47階)の高さを誇る。現在、新宿には超高層ビル群が形成されているが、その先駆的な存在であり、開業当初は日本でもっとも高いビルであった。
単なるランドマークにあらず、いわば経済発展と成長のシンボルマークのような存在であったわけである。

そんな京王プラザホテルをモデルにしたビルが登場するのが、楳図かずお『漂流教室』だ。
未来世界に学校の校舎ごと飛ばされてしまった小学生たちが、サバイバルを繰り広げる近未来サスペンス・ホラーの一大傑作である。

主人公の高松翔は、担任教師の若原や同級生とともに学校周辺を探索に出るが、その道中、狂人と化していた若原に襲われる。一面砂漠と化した世界で、翔は複数の横穴がある奇妙な地形へと逃げこむ。この場所こそ、京王プラザホテルをモデルにした「ホテルケイヨー」のなれの果てであった。

このシークエンスによって、翔たちの飛ばされた先の世界が「未来」であることが明確に示され、そして未来と現代の奇妙な交信が描かれる。

本作は「週刊少年サンデー」1972年23号から連載が開始された。
作中における「現代」の、繁栄の象徴として描かれるのが「ホテルケイヨー」なのだ。そして繁栄の象徴を朽ち果てた姿として描くことで、荒廃した未来世界のディストピア感を演出しているわけである。

なお、翔の母親がホテルの壁に穴を開け、そこにナイフを埋めて、未来へと送るシーンがあるが、それは作中では「ホテルケイヨー」の4225号室だ。現実の京王プラザホテルの42階は客室ではなく、宴会場(バンケットルーム)になっているので、母・恵美子が宿泊した部屋は存在しない。あしからず。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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