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「70年代少女マンガを愛する人」に今、すすめるベスト5【あの書店に聞く!! くだん書房  『大人の少女マンガ手帖』発売記念スペシャル!】

2015/03/12


本日3月12日に、弊社よりムック本『大人の少女マンガ手帖』が発売されました!

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『ベルサイユのばら』『ガラスの仮面』『はいからさんが通る』『エースをねらえ!』……今も愛され続けている、70年代を象徴する少女マンガたち。
『大人の少女マンガ手帖』では、以上に挙げた作品を含め、なんと300作品以上の70年代少女マンガを紹介しています。
詳しい内容は、こちらの記事をチェック!

そして今回、「書店に聞く!!」スペシャル企画としてお話をうかがったのは、「くだん書房」の店長・藤下真潮さん。
「くだん書房」は、2002年に藤下さんが自分の本棚にあった約6000冊の蔵書をもとにオープンした少女マンガ古書専門店で、ほかではなかなか手に入らない昭和の貴重な少女マンガ雑誌やコミックスなどを販売しています。
今回は、昭和の少女マンガに精通している藤下さんに、70年代を代表するといえる少女マンガを5作品ご紹介いただきました。
現在は、文庫版や電子書籍などで読むことができますので、当時を懐かしみながら、あらためて読んでみてはいかがでしょうか。

くだん書房オススメの5冊!!

『にゃんころりん』ところはつえ

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『にゃんころりん ベストセレクション』
ところはつえ 復刊ドットコム \1,700+税

「週刊マーガレット」に71年から連載された、捨て猫とまわりの動物たちの日常ギャグです。
単行本が大ヒットしたわけでもなく、一般社会にブレイクしたというほどでもない作品ですが、当時の「週マ」では付録や読者全員サービスノベルティなどで頻繁に使われていた、非常に印象的なキャラクターです。
猫のキャラクターがかわいらしく、古書として人気が高い作品です。
同じ頃に連載が始まって、現在も「なかよし」で連載中の『わんころべえ』とともに、今でも心に残るキャラクターですね。



『ミルキーウェイ』太刀掛秀子

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『集英社文庫 ミルキーウェイ』
太刀掛秀子 集英社 \590+税

半分血のつながった兄が亡くなった星降る湖を訪ねて、女の子が旅に出るお話です。
正統派の少女マンガで、73年から80年代なかごろまで活躍していた太刀掛秀子さんの初期の代表作品ということで、挙げさせていただきました。
活動期間は約10年、長期連載でも『花ぶらんこゆれて…』の全4巻が長いほうになります。
当時の少女マンガ雑誌は、雑誌そのもので売り上げが成り立っていたため、単行本化されない作品も多く、長期連載であっても『ベルサイユのばら』のように10巻程度まででした。
80年代に入ると、現在のように単行本の売り上げが重視されるようになってくるのですが、それまでは雑誌の読み切り作品が主流だったようです。



『洗礼』楳図かずお

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『小学館文庫 洗礼』第1巻
楳図かずお 小学館 \543+税

『紅グモ』『赤んぼう少女』など、「週刊少女フレンド」でヒット作を生み出した楳図かずおさんの、少女マンガ雑誌での最後の仕事になります。

ギャグマンガもそうなんですが、ホラーマンガも読者に強烈な印象を残す作品のようで、題名を忘れていても、そのシーンは記憶に残っている、というお客さんも多いんです。
年老いた女優が若返りのため脳移植で娘になりかわろうとする『洗礼』は、その総決算的作品で、直接的な残酷描写こそありませんが、心理的な怖さを十分に味わえます。



『聖ロザリンド』わたなべまさこ

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『聖ロザリンド』
わたなべまさこ ぶんか社
※Yahoo!ブックストアなどで配信中!


50年代から活躍していた作者による、こちらも人気のサスペンスホラー作品です。
『悪い種子』という小説原作の映画に着想を得た作品で、ロザリンドというわずか8才の美少女が周囲の人間をどんどん殺していくというマンガです。同作品から生まれたマンガとしては、ほかに井上智の『悪魔の落とし子』なども出版されています。

『洗礼』と違ってこちらは殺人描写がものすごくて(笑)、ざっと数えて30人近くを手にかけていますね……。
76年の映画『オーメン』にさかのぼること3年前に、悪魔のような少女が描かれて、当時の読者に強烈なインパクトを与えました。



『黒のもんもん組』猫十字社

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『白泉社文庫 黒のもんもん組』
猫十字社 白泉社 \562+税


「花とゆめ」の『パタリロ!』と並んで70年代白泉社系ギャグマンガの双璧をなした作品です。
同時期に「花とゆめ」に連載していた『小さなお茶会』の作風とはまったく逆ベクトルのコテコテギャグで、当時かなりブレイクしましたね。男性読者の支持も高いようです。

70年代の少女マンガは、前半と後半でトレンドに大きな変化が生まれた印象があります。
前半は昔ながらの、教育的にハズしていない作風を引きずっているようなんですが、後半にいくにしたがって、どんどん新しいことにチャレンジしていくようになっていく……はっきりいうと“親が読ませたくないマンガ”が増えていくんです(笑)。

60年代は男性の上半身でもダメだったのが、70年代に向かうにしたがってどんどんゆるくなっていって。
「週刊セブンティーン」に連載された水野英子さんの『ファイヤー!』などが、「開放された性」といった描写で話題になりました。
そういう70年代を経て、80年代の“ボーダーレス化”へと移り変わって、だんだんと少女マンガと男性マンガはその線引きがより困難になっていくわけです。

「神保町では珍しく(笑)、女性のお客様が7対3ぐらいの割合で多いですね」と、藤下店長。

「神保町では珍しく(笑)、女性のお客様が7対3ぐらいの割合で多いですね」と、藤下店長。


店舗情報:くだん書房

〒101-0051
東京都千代田区神田神保町1丁目34 高瀬ビル301
電話:03-3233-2020
営業時間:11:00~19:00(土曜18:30閉店)
定休日:日曜、祭日
URL:www.kudan.jp/

単行本情報

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