日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『文具少女ののの』
『文具少女ののの』第1巻
星屑七号 集英社 ¥571+税
(2016年5月25日発売)
仕事では何をするにもまずパソコンを使うので、学生時代ほど文具に触れる機会はない。
ともすれば1日のうち一度もペンを握らずキーボードをたたいている。
ある仕事で文具の達人たちに話を聞く機会があった。
自分が子どもだった頃とは比較にならないほど、文具は変容している。
「そうか?」と思う人はぜひ久々に文具コーナーを訪ねてみてほしい。
シャープペンシルひとつとっても驚くほどの種類があることを知るはず。
のり、はさみ、定規だけでなく、ノートブッキングを楽しめるマスキングテープやデコレーションテープ、シール。
そのなから自分になじむ相棒を見つけ出す喜び。文具は人類の相棒だ。
そんなおり、文具愛が高まるなか期待をふくらませて読んだのが『文具少女ののの』。
若射ののは「もはや折れぬのだ」をコンセプトに開発されたシャープペンシル「ロクロック」を白馬の王子様よろしく愛する文武両道、才色兼備の高校1年生。
人間の悪い感情を吸収し、その悪感情を利用する最悪の文具システム「BS(ブラックステイショナリー)」の襲撃を受けたののは、ロクロックの力を借りて“文具少女”となり敵を打ち破る。
じつはこのBS、普通の文具と変わらぬ姿で世界に流通したら、人間が文具に滅ぼされる可能性すらあるというおそろしい存在なのだった。
ここ最近の文具の進化をうまく取りこんだ、文具と魔法少女の要素をかけあわせた新感覚バトルラブロマンス。2人(正確には1本とひとり)の愛の行方やいかに……。
いや、ホントに、文具と少女のラブなんていったいどんな展開になるのか想像がつかない!
星屑七号先生どうするんですか!?
前代未聞のステイショナリー・ラブをお見逃しなく。
<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
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