日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『美少女戦士だった人。』
『美少女戦士だった人。』
シタラマサコ 秋田書店 ¥429+税
(2016年5月25日発売)
美少女戦士がれっきとした職業であり、20歳になったら引退するシステムで、しかもその後に裏方としてのお仕事が待っている。
しかも裏方たちはみな現役を退いた美少女戦士やその関係者たちで、過去の栄光とのギャップを噛みしめつつ、やさぐれながら日々の業務をこなす――。
何とも世知辛く、だからこそリアリティが笑いを誘う裏方コメディが誕生した。
主人公・一ノ瀬ひかり。
15歳から20歳までの5年間をキューティーシャインとして過ごしたひかりだが、ついに引退。
美少女戦士本部で、新たな美少女戦士を支える業務に就くことが決定する。
最初は、現役の時のお返しをと、殊勝な気持ちで仕事を始めるひかり。
しかし教育係の満島(元美少女戦士チュリー・リーユ)の殺伐とした指導を受け、地味な裏方として新たな人生に目覚めるのであった……。
なんと言ってもまずタイトルで、設定で笑わせてくれるこの1冊。
こうしたネタもので自然に笑えるくらい、「美少女戦士」なるものが根づいてる今の日本にあらためて驚いてしまうし、そこに着眼した著者の眼力にもおそれいる。
さらに美少女戦士には付きものの相方の動物、必殺武器、敵(本編中では「テキ」)の存在など、あらゆるネタがギャグになる。そして、どれもこれもが不思議な説得力なのだ。
著者は今人気沸騰中の『おそ松さん』コミカライズも手がけているそうで、本作を見るかぎり相当笑える仕上がりとなっていること間違いなしだ。
ともかくコメディにはくどくどと説明も不要かと思うので、まずはどうぞご一読のほど。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」