日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『オリオリスープ』
『オリオリスープ』 第2巻
綿貫芳子 講談社 ¥680+税
(2016年5月23日発売)
本の装丁を扱うデザイナーの原田織ヱ(26)は、スープが大好き。
スープといっても種類はいろいろ、四季オリオリのスープがあって……。
冬の夜に姉妹でハフハフつつく、タコ入り鶏団子とカリフラワーの鍋。
風邪で寝こんでいる織ヱに同僚の凡弥燕(ハン・ビエン)さんがつくってくれた、レンコンのすり流し汁。
残業の夜に師匠が出前をとってくれたミソラーメン(おとしバター入り!)。
仕事で読んだマンガに出てきたスープをアレンジした、焦がしネギの中華風スープ。
仕事で失敗したとき、心を落ち着かせてくれるあったかいオレンジピール入りマサラチャイ……。
って、もはやスープじゃなく、たんなる汁ものじゃん! とツッコみたくなる回もあるはあるが、いずれもストーリーにすんなり溶けあっていて、あったかい汁ものって地味だけどしみる~とホッコリ。
本巻では織ヱのちょっとせつない過去や家族関係が描かれ、これまでは不思議ちゃん!? とイラッとすることもあったヒロインの言動にぐっと説得力が増し、キャラクターとしての魅力もアップ。
弥燕さんとの関係も含めて、人間ドラマとしても深みのある楽しみな展開に。
スープだけに、お手軽なようで意外と滋味深い味わいになりそうだ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69