業界注目度No.1!?
「このマンガがすごい!WEB」が誇るランキング選者に協力いただくアンケート集計をもとに、決定される毎月恒例の「このマンガがすごい!」ランキング。今月のランキングは……。
オトコ編第1位は、『このマンガがすごい!2012』のオトコ編第1位の『ブラック・ジャック創作秘話』でおなじみの吉本浩二の最新作!
聴覚障がいをテーマにしたドキュメンタリーマンガなんですが、なんと、“あの”佐村河内守氏も登場するらしい!?
ああ、気になる! さっそく記事を読んでみましょう!
(2016年5月1日~5月31日発売作品を集計)
第1位(184ポイント)
『淋しいのはアンタだけじゃない』 吉本浩二
『淋しいのはアンタだけじゃない』
吉本浩二 小学館
『このマンガがすごい!2012』のオトコ編第1位に輝いた『ブラック・ジャック創作秘話』の著者が、さきの東日本大震災による被災や復興をテーマとするドキュメンタリーマンガ取材のなかで出会った人々、いわゆる聴覚障がい者を対象にした渾身の新感覚ドキュメンタリー。
どうやらあの佐村河内守氏の事件も取り上げているらしいが、はたして!?
著者は、福祉関係の大学出身。とりあげたテーマも身近な問題のようで、じつはほとんど知られていないことばかり。見た目にはわからない聴覚障がいの世界を、どうマンガに落としこむか、著者の手腕が存分に発揮されています。
オススメボイス!
■生まれつき耳の不自由な人はマンガによって、世界にはいろいろな音があると知る。このことに衝撃。難聴者の世界をマンガによって表現するという試み。そして2014年世間をお騒がせした佐村河内守氏は「聞こえているのか」という謎に踏みこんでいく前代未聞の現在進行のドキュメンタリーマンガ。圧巻です(すけきょう/ブログ「ポトチャリコミック」管理人)
■聴覚障がいについて丹念に取材したドキュメンタリーマンガ。聴覚障がい者の感覚や心情がリアルに伝わってきて、そのナマな迫真性に心を動かされた。聴覚障がい者にとってマンガの擬音は、世の中にいろんな音があることを教えてくれる格別の表現なのだ、というくだりには特にハッとさせられた。自分の「聴覚」に対する意識が更新されていく(稲垣高広/ブログ「藤子不二雄ファンはここにいる」管理人)
■あの事件を聴覚という点から斬りこむ迫真のドキュメンタリー(奈良崎コロスケ/博奕・マンガ・映画の3本立てライター)
■聴覚という題材を掘り下げるドキュメンタリー。話題になっていた人も絡めつつ、取材とは何か、表現するとは何かまで自問する内容は真摯(happysad/「マンガ一巻読破」管理人)
■マンガでも絵としてしか「音」が存在しないことが、難聴をテーマに、どういうふうに聞こえているかを見せることにわかりやすく、相性がいいのは納得。佐村河内氏の話は、公開された映画も合わせ、しっかりと描いてもらいたい(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
■さらなる熱量の多さを感じました。敬意を表します(よるのひるね 門田克彦/古本カフェ的店舗運営と出版と営業)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!
第2位(132ポイント)
『衛府の七忍』 山口貴由
『衛府の七忍』
山口貴由 秋田書店
豊臣家の滅亡が決した元和元年。
天下統一をなしとげた徳川家康は、その支配力をより強固にすべく民兵に徳川家の威光を使える手形「覇府の印」を与え、豊臣の残党狩りを推進する。
残虐な民兵に命を奪われた者のなかには、無念の想いが奇跡を呼び、徳川に反旗をひるがえす「怨身忍者」に転生する者たちがいた――。
すがすがしくてユーモアさえ感じさせる著者お得意のエロ・グロ描写に加えて、代表作のメインキャラを異なる設定で登場させる一種の「スターシステム」を導入したことで、話題となった第1巻に続いて、第2巻もぶれないテンションで堂々のランクイン!!
オススメボイス!
■とにかくこの巻は「霞鬼編」に尽きる。もう暴れまわって何が何だかわからないが、絵の力だけでグイグイ読ませるえたい体の知れない魅力がある。山口作品的に言うと「何だか知らんがとにかくよし!」(冬蜂/風俗情報サイト「フーゾクDX」制作部)
■あいかわらず絶好調の「スーパー山口貴由大戦、強くてニューゲーム」マンガ。「雑草などという草はない」と再度叫ぶために最適化された舞台設定、エンターテイメント作品として文句のつけようがない!(劇画狼/漫画始末人)
■これまでの山口貴由作品の総決算とも言うべき、スーパー山口貴由大戦。えげつない描写は健在ながら適度にギャグも挟み、『シグルイ』や『エクゾスカル零』と比べて、明るさや楽しさも見える本作。そんなことより現人鬼・波裸羅様の登場シーンのインパクトが鬼半端ねえ(犬紳士/養蜂家)
■山口貴由オールスターズな特撮時代劇ふう伝奇アクションの傑作、第2巻。徳川の暴虐に反旗を翻す7人の超人忍者が誕生するエピソードをひとりあたり3話刻みでサクサクつないでいくため、テンポのよさや登場人物のバラエティがずっと高いところでキープされて飽きがこないのがすばらしい。今巻では山口作品のなかでも最大級の異彩をはなつ強烈キャラ、『覚悟のススメ』の散(はらら)さまのリバイバルとなる波裸羅が登場! 今の時点では敵の刺客として立ちはだかりそうな流れだが、はたしてどうなるか? 続きが待ち遠しい!(宮本直毅/ライター)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!
第3位(118ポイント)
『宇宙戦艦ティラミス』 宮川サトシ(作)伊藤亰(画)
『宇宙戦艦ティラミス』
宮川サトシ(作)伊藤亰(画) 新潮社
愛機「デュランダル」を駆るスバル・イチノセは、宇宙戦艦ティラミスのエースパイロット。
しかし、年上の荒くれ者ばかりそろった集団生活になじめないナイーブな彼は、食事のときでさえもデュランダルにひとりひきこもる毎日だった。
緻密な画力が持ち味の作者はSF初挑戦、コクピットにひきこもって便所飯ならぬコクピット飯を食う主人公というトリッキーな設定にチャレンジした本作。れっきとしたボッチギャグマンガです。
ハードSFっぽい表紙に“だまされた”読者もいたとか、いないとか……?
オススメボイス!
■「なんかもうシリアスな設定とか疲れたよな~。もっとこう、『ガンダムZZ』の序盤みたいなノリのままずっとやってくれる気楽なやつないかな~」というみなさんに朗報! 一巻まるごと読んでも何ひとつ戦局が把握できない極上のやつ、きましたよ!(劇画狼/漫画始末人)
■人型兵器を駆る壮大なスペースオペラとみせかけてコックピット内での日常生活レベルのしょうもないハプニングに終始する、四畳半ギャグ、もとい、四畳半未満ギャグ。全身にごはんをのせて食ったり、己の陰毛と対話したり、主人公(イケメン)のあられもない姿が目白押しだ!(さすらい/ブログ「(怒りの以下略)」管理人)
■(いろいろな人が指摘しているように)ギャグマンガなのにこのムダな画力がすばらしい。『パタリロ』や『こち亀』のようにときどきシリアスで泣かせる場面が描ければ本物(早川博志/恭文堂コミッククラフト店)
■広い宇宙にじわりと拡散する超ローカルな小ネタの数々! これがユニヴァース感覚か……(漫画トロピーク/謎の社会人漫画サークル)