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『所得倍増伝説 疾風の勇人』(大和田秀樹)ロングレビュー! まるでフィクション!? 戦後日本を変えたアツすぎる漢(おとこ)たちの物語とは!?

2016/06/22


話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!

今回紹介するのは『所得倍増伝説 疾風の勇人』

『所得倍増伝説 疾風の勇人』著者の大和田秀樹先生から、コメントをいただきました!

著者:大和田秀樹

日本の戦後は、幕末や戦国時代と同じくらい、またはそれ以上におもしろい時代だと感じ、描き始めました。
毎週、新たに見つかる資料に埋もれながら必死にネームを描いています。
毎週楽しんでいただけたら幸いです。

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『所得倍増伝説 疾風の勇人』第1巻
大和田秀樹 講談社 ¥570+税
(2016年5月23日発売)


「この真っ白い何も描いてないキャンバスに、わしらの『日本』を描くんじゃ」

なんと壮大で、なんとロマンにあふれたセリフだろうか!

庶民感覚からすると今ひとつ景気回復の実感もわかないし、東京都知事は不祥事連発で辞任しちゃうし、当初は歓迎ムードだった2020年東京オリンピックもなんだかんだ問題噴出でどっちらけ。
どうも日本全体が停滞ムードに包まれている昨今だが、そんな日本に生きる僕らのハートをガツン! とぶん殴るような、ハードで熱いセリフが次々と飛びだしてくるマンガが『疾風の勇人』だ。

本作は、第58~60代首相を務め、1960年に「所得倍増計画」を打ちだした政治家・池田勇人の生きざまを描く痛快政治ドラマ。
描くのは、シビアな国際社会を麻雀で描いた問題作『ムダヅモ無き改革』や、『機動戦士ガンダム』の制作秘話を虚実交えつつ描く『「ガンダム」を創った男たち。』で知られる大和田秀樹。

実在の人物たちが織りなす人間模様を、ドラマチックに、時にぎりぎりギャグ方面に針の振れた過剰な演出で描くことにかけては右に出る者のいない彼だけあって、本作のおもしろさは折り紙付き! 魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめく戦後日本政治が、ドライブ感満点に描かれる。

続々と登場する近代日本の巨人たち。下のハードボイルドな男性が池田勇人その人だ! ノリは「仁義なき戦い」か「ゴッドファーザー」か。

続々と登場する近代日本の巨人たち。下のハードボイルドな男性が池田勇人その人だ! ノリは「仁義なき戦い」か「ゴッドファーザー」か。

ちなみに冒頭のセリフは、主人公・池田勇人が、いまだ焼け野原の残る東京の街を眺めつつ部下の大蔵省官僚・大平正芳に語った一言だ。
一度失脚し、派閥を失った吉田茂が、「日本をGHQの手から取り戻す」という大義のもと、再起を誓って密かに立ちあげた“吉田学校”に誘われた池田は、自らの手で強い派閥、強い日本を作りだすことを決意。盟友・佐藤栄作とともに吉田と行動をともにするようになる。

単行本情報

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