『碧き青のアトポス』第1巻
やまむらはじめ 小学館 \552+税
(2014年7月18日発売)
太平洋の真ん中に沈む島。そこには科学技術と武力をもって君臨した超古代文明が眠るという――。
海洋冒険の物語は“憧れ”でできている。
まだ見ぬ未知が待つ航海、敵と騙し騙されの駆け引き、秘宝の意外な正体……「宝島」は様々な作家の手でかたちを変えながら、人々の心に波風をかきたてるのだ。
失踪船「かんなぎ」が帰港した港に現れた、美少女・宇藤かがり。彼女と一体化した(やんちゃすぎる)人工妖精、そして特殊スーツ。
超古代SFにボーイミーツガールをも詰め合わせた贅沢な要素が、企業グループのお家騒動を軸に「現代」と交差する。
さて、宝島といえば、主人公は冒険の旅に出る少年だ。
主人公・城原真都は、一目惚れしたかがりのために、危険の荒波に飛び込むのだが、勇気はカラ回り。やっと強化スーツを着ても、使いこなすだけの体力がないため、いいところを見せられないまま。
シルバー船長のようなワケありの男・日滝灰崇が頼もしすぎて、影に隠れがちだが、がんばれ少年!
<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。