365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月12日は「配布の日。本日読むべきマンガは……。
『空想郵便局』第1巻
朝陽昇 マッグガーデン ¥571+税
日本広告配布事業協会は、8月12日を「配布の日」と定めている。
だれかに何かを届けること。配布は相手に渡して終わりではなく、渡したことで何かが変化することこそに意味がある。
郵便物のひとつでもそうだ。セールを知らせるハガキが届けば受け取り人は買い物にでもいくか、と行動を起こすかもしれない。近況を知らせる手紙でなつかしい人に会いたくなるかもしれない。
誰かに届けられたそれが、水面に投じられた石となる。
『空想郵便局』は“水面に石を投じる人”の視点で描かれる。
高校生の真今(まこと)は交通事故にあい昏睡状態に。しかし彼の意識は、この世でもないあの世でもない場所にたどりつき、そこで「上」、いわゆる「かみさま」に雇われている存在から、生き返るためには「奇跡」の配達人になり、働くことで命を稼ぐことが必要だといわれるのだった。
真今は「上」からの指示に従い、宛先の人物宛に奇跡を届けることに……。
真今が届ける郵便物には奇跡がつまっている。その中身は受取人によって様々だが、その中身は確実に受取人のその後を変えるもの。
この作品は全3巻。奇跡とは何かを問い、『空想郵便局』とはなんだったのかがわかるラストまで、読み進める手が止まらなくなってしまうマンガだ。
<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
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