日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『メイデンス・オーダー』
『メイデンス・オーダー』 第1巻
すたひろ 芳文社 ¥590+税
(2016年8月10日発売)
「くっ殺」という言葉は、オタク界隈ではわりとメジャーだと思う。たぶん。
気高い女騎士が、敵に辱めを受けるくらいならいっそ殺せ、という発言をしてしまうような状態のことだ。
ぶっちゃけ、シチュエーションありきの話なので、あんまり前後の展開や細かい設定は重要ではない。
騎士としての気品ある心を持ち、鎧に身を固めつつも、内面は女性的でたおやか、身体は鍛えられてしなやか。
そんなキャラクターが窮地に陥り、顔を赤らめつつも、プライドが勝って決して屈しない。物語はすべて、このシーンのために組み上げられる。
主人公の結城悠久(ゆうき・とわ)は、女騎士大好き青年。
こつこつとオリジナル「くっ殺」同人誌を作って、即売会で売っている。
そんな彼が異世界に飛ばされ、目の前に自分の求めていた理想の女騎士(しかも自分が描いていた設定どおり)がいたら、そりゃあ「くっ殺」に期待するでしょうよ。
悠久が期待しまくって彼女をガン見していたら、何かが発動し、彼女はクモの糸に縛られたり、蛇に巻きつかれたりと、本当に「くっ殺」な状態に。
そのあとなんやかんやでパワーアップし、どーたらこーたらで女騎士が敵に勝利する。
悠久、夢中。そして自分の状況をまったくわかっていない。
けど、結果は必ずオーライになっている。いったいどういう仕組み?
「なんやかんや」の部分は、悠久が思い描くイメージにポイントがあるようだ。
彼の周囲のできごとは、同人誌即売会場がごっそり消えるなど、もといた世界に多大な影響が及んでいるため、なんらかの大きな意味があるはず。
しかし現時点では彼の魔力(妄想力?)を消費すること以外は、はっきりと描いていない。
というのも、まずは「敵と遭遇→女騎士くっ殺→なぜか倒す」の様式美エンターテインメントを描くことに注力しているからだ。
物語的には細かい解説が今後入ってくるだろう。
でも先に、目の前にいる女騎士がくっ殺なのを、とりあえず見たいじゃん。
ありとあらゆるちょいエロ嬲りを受ける女騎士・イルカが、今後どういうひどいめにあうか考えるだけでワクワクする。ぜひとも定番として、オークとは接触していただきたい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」