日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ホラーアンソロジーcomic 死角』
『ホラーアンソロジーcomic 死角』
伊藤潤二、高橋葉介、犬木加奈子、雨がっぱ少女群、
日野日出志、長田ノオト、呪みちる ぶんか社 ¥1,300+税
(2016年9月5日発売)
90年代ホラーシーンを牽引し、2010年に惜しまれつつ休刊した伝説の少女ホラー雑誌「ホラーM」の版元・ぶんか社によるホラーマンガアンソロジー。
犬木加奈子、日野日出志、伊藤潤二といったビッグネームから、高橋葉介、呪みちる、雨がっぱ少女群、長田ノオト……といったマニアックな面々まで、年代的にも80年代後半から描き下ろしまで、多岐にわたっている。
よくいえばバラエティに富んだ、悪くいえば安易な寄せ集め…という感じなのだ。
近年、まさかの復活を遂げた犬木加奈子なんかは、全盛期のものと本作のための描き下ろしと2作品が収録されているのだが、もはや別人としか思えない画の違いにビックリ。
が、これはこれで完成された世界観があるのは、さすがというべきだろう。
このボリュームで、なんの解説も資料もない形態で、この価格はどーよ? という感じもぬぐえないが、他にも高橋葉介や伊藤潤二の近作が読めるのはファンとしてはうれしいところ。
願わくば、「ホラーM」黎明期から少女ホラー雑誌の歴史を総括するような全集的アンソロジーの発売を期待!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69