日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『電車内でJKがダベるだけのヤツ。』
『電車内でJKがダベるだけのヤツ。』
茶麻 KADOKAWA ¥480+税
(2016年10月26日発売)
タイトルのとおり、電車内でJKがダベるだけ。
登場人物は佐伯と戸村、女の子2人と、それを横で見ているサラリーマンのみ。
ニコニコ静画で著者が、読者からお題を出してもらい、それを利用して女子高校生の会話を組み立てて4コマにする、という手法で描かれたものだ。
つまりはひとり大喜利……なのだが、「ボケとツッコミ」や「起承転結」「最後にオチがくる」などの4コマルールに、作品がのっとっていない。
話をおもしろく、論理的に展開するのは非常に難しいことだ。
それをズラして、非論理的に、けれどなんとなく楽しそうにするのは、頭のスイッチの入れ方がまったく異なる、至難の業だ。
戸村はマイペースでちょっと変わり者。佐伯は元気いっぱいの子。2人の会話に意味はまったくない。
たとえば「忍者」
「…………実はウチ 忍者なんだ……」
「マジ?私も忍者だよ」
「うっそマジ!?うわー超偶然!えーー言ってよーー!」
「伊賀?甲賀?」
「伊賀」
「ウチ甲賀!」
「手裏剣どこの使ってる?」
「アディダス」
「あー派手なやつだ」
終わり。
特にラスト。笑っているだけでツッコまない。
女子高校生はとりとめのない会話をしそう、というイメージを、見事にかたちにしている。
かなり昔に、TVCMで「箸が転がるだけでも笑う年頃」というものがあった。
時代は変われども、若い子は理由なくツボに入ることがある、というのは今も変わらない。
2人が唐突に笑い始めるポイントのわからなさ。話の飛びっぷり。
横に座ったサラリーマン視点で、これを観察できる。
独特のテンションの高さと、妙に脱力したチルアウト感は、かなりくせになる。
ゲラゲラおもしろい作品とはちょっと違う。
小動物をめでるような感覚で楽しめるので、仕事に疲れた日や寝る前に読むのをオススメ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」