日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『山賊ダイアリー』
『山賊ダイアリー』 第7巻
岡本健太郎 講談社 ¥562+税
(2016年10月21日発売)
漫画家にして本物の猟師が描くリアルなハンター生活!
「猟っておもしろそう」「銃とか撃ってみた~い」と口にするのは簡単だが、本作を読んでいると獣を捕らえることのたいへんさがひしひしと伝わってくる。
山の歩き方から始まって……そもそも獲りたくても獲物が現れなければ始まらないわけなので、待機の時間が長くなることもある。
そうした地味な苦労をもつまびらかに描写しているからこそ、引きこまれてしまうのだ。
たとえばイノシシ猟のくだりでは、罠にかかったイノシシにとどめをさすことがいかに難しいか、その緊迫感がしっかりと伝わってくる。
それを解体するのも大仕事。仲間とともに舌鼓を打ちながら、料理談義や愛用の刃物について語らう様子も情報量がいっぱいだ。
ちょっとの覚悟では手を出せそうにないが、人間の原点といえる猟師生活、じつに憧れる!
本作は第7巻にて1stシーズン終了。この12月から「イブニング」で連載開始するという新シリーズ『山賊ダイアリーSS』はさらに活動のフィールドが広くなる模様。
長く読み続けたい作品だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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