『犬を飼う』
谷口ジロー 小学館 \457+税
漫画家の谷口ジローは、1947年8月14日生まれ。
静かな町並みから人間を圧倒する大自然、優れた格闘家たちの筋肉、そしておいしそうな料理……と、あらゆるものを原稿上に再現する、精密な描写が魅力の作家だ。
近年の谷口といえば、やはり実写ドラマのシーズン4も好評放送中の『孤独のグルメ』(原作:久住昌之)を思い浮かべる人が多いだろう。
実写ドラマは、放送時間が深夜帯ということもあり、ネット上で「夜食テロ」という言葉を生み出すほど、視聴者に親しまれている。
『孤独のグルメ』だけでなく、最近はマンガ原作者と組んで作品を手がけることが多い谷口だが、子供のいない夫婦が愛犬の死を看取る数日間を描いた『犬を飼う』は、自身の実体験をもとにした作品だ。
本作は、第37回小学館漫画賞審査員特別賞を受賞。本作の単行本には、ほかにも動物と人間の心のつながりやふれあいを描写した「そして…猫を飼う」「庭のながめ」も収録されている。
フランスを中心に国際的な評価も高く、カルティエの広告を複数の画家と一緒に担当するなど、幅広い活躍で知られる谷口ジロー。
最近になってドラマ版『孤独のグルメ』から入ったファンには、ぜひ多彩な作品群を読んでみてほしい。
<文・小林美姫>
ぴあを経てフリーで活動。『井上雄彦ぴあ』『ワンピースぴあ』『ポケモンぴあ』『プリキュアぴあ』『細田守ぴあ』(ぴあ)、『プリキュア10周年公式ブック』(メディアパル)など。
Twitter:@mikitty116