日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『お肉ガール』
『お肉ガール』 第1巻
川本スガノ 実業之日本社 ¥898+税
(2017年1月28日発売)
職場の給湯室に七輪を持ち込んで焼肉をするほど、お肉をこよなく愛する28歳の米沢いく。
貧乏でも肉を囲んで仲のよかった両親のような家庭を築きたい、と「お肉好き」を相手に求める婚活を始めるが?
主人公・いくの、お肉をすべての中心とする価値観がブレなさすぎて笑える。
こんなにさわやかな「肉欲」があるとは……!
彼女を中心に繰り広げられる肉知識が非常に詳細で、この1冊でお肉に詳しくなれることは間違いなし。
幻の見島牛への憧れがつのり、焼肉を囲みながら「ローリング・ホールド!」など焼き方の技名を叫びたくなる(周囲にドン引きされるおそれはあるが)。
霜降り、キレイな赤身などなど、おいしそうな肉が次々と登場して生唾ものだが、美や健康に良い肉の食べ方も指南されているので、むしろダイエット中に読みたいところだ。
肉への愛でまわりが見えなくなってフラれる、同じ「肉好き」でも愛し方が違う、などなど、婚活で壁に当たるたびに、いくの「肉愛」は、また新たなステージへ上がる。
そのなかでも、お肉すべてを愛するいくと方向性が違い、牛肉しか食べない主義を掲げて反目しているメガネのツンデレ上司・佐賀光成室長は、いくへの好意を自覚しつつある。
「肉バカ」度合いはいく以上なので、お似合いに思えるのだが……。
とはいえ、いくにとっての恋愛の刺激は、お肉を食べた時に脳内で生成されるという「アナンダマイド」の快感を越えられるのだろうか?
片想いが強まりそうな、室長の恋の火加減が気になる!
<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。