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『このマンガがすごい! comics スイートホームシンドローム』(町村チェス)ロングレビュー! 第5回「このマンガがすごい!」大賞受賞者の衝撃の新作!! なりたい自分、他人との距離、ザラついた自意識――。

2017/02/15


話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!

今回紹介するのは
『このマンガがすごい! comics スイートホームシンドローム』

『スイートホームシンドローム』著者の町村チェス先生から、コメントをいただきました!

著者:町村チェス

取り上げていただき、ありがとうございます。
本の背表紙にある言葉、
「半径10メートルできっと私が一番幸せ」。

SNSの発達でその距離は飛躍的に伸びたのかもしれないけれど、本当はみんなそれ以上は、おなかいっぱいなんじゃないのかな、と描きながら思いました。
お手にとっていただければうれしいです。


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『このマンガがすごい! comics スイートホームシンドローム』
町村チェス 宝島社 ¥680+税
(2017年2月10日発売)


東京で暮らす女性の夢と挫折、女同士の憧れ、嫉妬、優越感…といった微妙な心情を鮮やかに描きだした『フォーカス&コントラスト』(第5回『このマンガがすごい! 』大賞最優秀賞受賞作)を読んで、次作を楽しみにしていた人もきっと多いはず。

小さな町に住む老夫婦の「ある秘密」を、近所に住む主婦の視点を通して描いた「ばらの花」、人々の羨望を集めるセレブ美魔女の、虚構の人生の顛末を描いた「魔女の箱庭」、目立ちすぎずフツーよりほんの少し上をキープしたい女子高生と周囲から孤立したクラスメイトの交流を描いた「希望の種」。
『スイートホームシンドローム』に収録された三編の物語の主人公は、それぞれ境遇は違うが、いずれも閉塞した世界で自分の居場所を求めてひとりぼっちで戦っている。

女たちは他者と関わりながら、”自分”を模索する。その姿がどんなにいびつだとしても……

女たちは他者と関わりながら、”自分”を模索する。その姿がどんなにいびつだとしても……

他人から認められたい、幸せだと羨望されたい――といった「承認欲求」は、多かれ少なかれ、だれのなかにもあるもので、向上心の源となる大事なものではあるが、一方で「こうありたい自分」と「本当の自分」のギャップが深ければ深いほど葛藤を抱えることになるし、その現実から目をそむけて手に入れた居場所は、しょせん長続きはしない「砂上の楼閣」でしかない。

著者・町村チェスはそんな彼女たちの絶望や孤独を、育児ノイローゼ、虐待、インスタグラムのカリスマ、女子高生のグループLINE……といった現代的テーマを盛りこみながら、淡々と描いてゆく。その意地悪いまでに精巧であざやかな手つきは、女性作家ならではといった感じ。

ごく日常的ななにげないシーンのなにげないセリフに物語の重要な伏線となるものが隠されている。ヒントを見逃さず、読み解くべし!

ごく日常的ななにげないシーンのなにげないセリフに物語の重要な伏線となるものが隠されている。ヒントを見逃さず、読み解くべし!

単行本情報

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