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『いんらんベイベー』 第2巻 森井暁正 【日刊マンガガイド】

2017/04/06


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『いんらんベイベー』


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『いんらんベイベー』 第2巻
森井暁正 講談社 ¥590+税
(2017年3月7日発売)


あくびをするあの子の口のなかが、ピンクで少してかってる。
ほんのりこぼれる涙とよだれ。飲みたい。
たまんねぇぜ!

優等生・常願寺平助(じょうがんじ・へいすけ)は、クラスで斜め前に座っている江口千尋(えぐち・ちひろ)に激しく興奮する。
「なんていんらんなんだ!」と江口の言動に動揺し続ける。
ほかの生徒は、まったくそうは感じない部分なのに。

江口さんが鼻をかむ様子がえっち。
おなかがすいて鳴るのを我慢している姿勢が、たまらない。
体育大会の障害物競走で網をくぐる時に、ハミ出る肉がすばらしい。

第2巻で彼が感じる、歯磨きのエロス。
細かい棒が口のなかを出たり入ったり。きれいな白い歯とピンクの歯ぐきがあらわに。 そして口から垂れる、歯磨き粉。
マニアックを越えて、一般的な男子の理解の範ちゅうを超えている部分すらある。

常願寺はとてもまじめで、中学生が一般的に興味を持つ性的なことにあんまり興味がない。赤の他人のパンチラは、見向きもしない。
けれども、好きな子である江口さんにだけは、心の火が灯る。
それが性欲なのか恋愛なのかの境界線がない。
あくまでも、彼が興奮しているのは性的シチュエーションではなく、自分に目覚めた恋愛感情に対してなのだ。

第2巻ラストで大人になった彼が中学時代を思い出す様子は、とてもセンチメンタル。
中学時代に感じる「いんらん」は、当時だからこそのもの。
狭い教室から開けていく、世界への気づき・発見。
大人になる時、「いんらん」に対する感受性は、ちゃんと糧になる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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