日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『甘々と稲妻』
『甘々と稲妻』 第8巻
雨隠ギド 講談社 ¥590+税
(2017年1月6日発売)
昨年、テレビアニメ化もされますます人気上昇中の本作。
男手ひとつで娘を育てる高校教師・犬塚と天真爛漫な愛娘・つむぎの物語も、いよいよ第8巻へと突入した。
あいかわらず本巻でもおいしそうな料理ばかり登場する。
わかめごはん、サンドイッチ、アサリの味噌汁、トンカツ、麻婆豆腐……。
四苦八苦しながらつくる犬塚、満面の笑みでそれをほおばるつむぎ。
見ているだけで心まで満たされてしまうのは、いつもどおりだ。
そして本巻で色濃く描かれているのは、つむぎの成長ぶり。
友だちに謝ることを覚えたり、子どもの歯が抜けてしまったりと、つむぎは少しずつ大人への階段をのぼっていく。
それを見守る犬塚の少し寂しそうな表情を見るたびに、読者は「わかる、わかるよ!」と共感するだろう。
第1巻ではまだ子どもだったつむぎがこんなに成長するなんて……。
また、犬塚に料理を教えてくれる小鳥にも成長が見られる。
将来の進路を考えなければならない年齢になった彼女が選んだのは、「母の店を継ぐこと」。
過去のトラウマから包丁を握ることもままならない小鳥が料理人になる。
もちろん母はそう簡単には納得しない。
しかし、それでも小鳥が出す答えに、彼女の成長ぶりを感じさせられる。
料理マンガの体裁は保ちつつも、それぞれのキャラクターが大きくなっていくさまに重点が置かれた本巻。
読者としてはそれがうれしくもあり、またさびしくもあるのだ。
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。