『甘々と稲妻』第3巻
雨隠ギド 講談社 \590+税
(2014年9月5日発売)
幼い娘・つむぎにおいしいものを食べさせたい、笑顔にさせたい一心で、料理に取り組む決意をしたやもめの高校教師・犬塚。犬塚の教え子・小鳥の提案で、ときどき3人でいっしょに料理を作るようになり……。
いっしょに作る、いっしょに食べることの喜びに満ちあふれた本作、第3巻目も心にぽっと灯をともすドラマがいっぱいだ。
期末テストの準備に追われ、夜中に仕事をする犬塚。父親がそばにいないさびしさから起き出してしまうつむぎに振る舞うパンがゆのやさしい味。犬塚の妻が遺したドライカレーのレシピが見つかり、久しぶりに味わった“ママのカレー”がもたらすさまざまな感情。
料理する過程で、日々の食事のなかで登場人物たちとともにいろいろなことに気づかされ……つむぎの子どもらしく豊かな表情に目を細めながら、生きる活力がわいてくるのを実感する。
幼稚園での調理体験以来、包丁を持つことに興味を覚えたつむぎに刺激され、包丁にトラウマを持っていた小鳥にも変化が!?
小鳥の犬塚先生への想いも気になるところ。3人の“ごはん会”の進展が楽しみだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
サイト「ド少女文庫」