日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『地獄のガールフレンド』第3巻
『地獄のガールフレンド』第3巻
鳥飼茜 祥伝社 ¥680+税
(2017年3月8日発売)
アラサー女子3人ものといえば、古くは岡崎京子『くちびるから散弾銃』、最近では東村アキコ『東京タラレバ娘』を筆頭に、外れナシなわけで。こちらは『おんなのいえ』『先生の白い噓』で話題を集める、鳥飼茜による女3人シェアハウス物語の最終巻。
結婚に疲れ、慰謝料ナシで離婚を申し出たバツ1シングルマザーでフリーイラストレーター・加南。初めての男が妻子ありの不倫男で、長らくセカンドバージン状態のまじめOL・悠里。かわいい洋服とおいしいものとかわいい男の子が好きな超モテ股ゆる女・奈央。
境遇もキャラもバラバラの3人がひょんなことから同居。ごはんを食べながらのおしゃべりのなかで、次第に本音を曝け出し、自身の問題に対峙しながらも理解を深め、成長してゆくーーといえば、ああ、よくある感じ……と思ってしまいそうだが、そこは『先生の白い噓』の鳥飼茜だけに、たんにおもしろおかしいガールズトークでは終わらない!
第1巻の時点では、まだ「正直 若い女扱いはもう疲れたし抜けたい」「え~私はチヤホヤされたい!」なんて軽~いノリだったのが、本巻では悠里に好意を示しながらも、「夢が叶うまでは結婚とかは絵空事つーか」とのたまうミュージシャン志望の男の話を肴に、「不安が消えないと結婚できない男の人と 不安をなんとかしたくて結婚したい女の人って一生平行線じゃんね…」と嘆息。
「どっちも不安でホントはそういう時こそ相手と寄り添って生きられたらいいのにね」とひと筋の光を見い出す。
思わず目からウロコ&「そうそうそう!」と握手を求めたくなる、深イイ話がてんこ盛り!
「なんで女ってこんな面倒なんだろって なんでソレ男の人にわかってもらえないんだろ」「ずっとこんな風に共感しあえるなら じゃあ私たちにとって男の人といることってなに?」
男と女の間に横たわる、深く暗~い川を目を背けずに直視しながらも、安易な自虐やフェミニズムに走るわけでもなく、笑いながらそれを超えていこうとする彼女たちの未来に「幸あれ!」と祈らずにいられない。
<文・井口啓子>
ライター。
月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。
「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69