365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月10日はナポレオンの親友ランヌの誕生日。本日読むべきマンガは……。
『ナポレオン-覇道進撃-』第11巻
長谷川哲也 少年画報社 ¥575+税
1769年4月10日は、ナポレオン戦争期に活躍し、その類まれなる勇猛さと数々の武勲から、「我らがローラン」、「フランスのアイアス」などと称された英雄、ジャン・ランヌの誕生日だ。
ランヌはフランス軍元帥という立場ながら、皇帝ナポレオン・ボナパルトが信頼する数少ない個人的友人のひとりであったとされており、ランヌが戦死した際に、ナポレオンが遺体にすがりついて涙したというほどの人物だ。
皇帝ナポレオンの栄枯盛衰を描いた歴史マンガ、『ナポレオン-覇道進撃-』第11巻では、ランヌ最期の戦いとなるアスペルン=エスリンクの戦いに焦点が当てられている。
ドラマティックな翻案に定評がある著者の誇張マシマシの語り口は、本作でも遺憾なく発揮されており、ナポレオンとランヌの別れのシーンは必見。史実にくわしい歴史愛好家にも、新鮮な驚きを約束してくれるだろう。
無二の親友の死が大きな契機であるかのように、以降のナポレオンはゆるやかに破滅に向かって歩み出す。
近代フランス史の最重要人物であるナポレオンは複雑な人格の持ち主ではあったが、それを理解する一助として、ジャン・ランヌという人物に注目してみるのもいいかもしれない。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。