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『星川銀座四丁目』 上巻 玄鉄絢 【日刊マンガガイド】

2017/04/10


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『星川銀座四丁目』


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『星川銀座四丁目』上巻
玄鉄絢 KADOKAWA ¥880+税
(2017年3月9日発売)


2010年に発売された、年の差恋愛百合の傑作の新装版。
以前の表紙などカラーページも再録されているので、すでに持っている人にもオススメ。

小学生の松田乙女は、両親に世話をしてもらえず、いつもひとりで過ごしていた。
それを見かねた教師・那珂川湊(なかがわ・みなと)は、彼女を里子として引き取る、と宣言。2人の共同生活が始まる。
年齢のわりにだらしなくて家事能力のない湊。しっかりもので家庭のこと全般をこなすものの、まだまだ幼い乙女。
2人がお互いをかけがえのない存在だと認識し、恋におちるのはあっという間だった。

年の差恋愛もののおいしいところといえば、タブー観。
湊はいちおうは先生なわけで、乙女と相思相愛になってもさすがに、性行為はしてはいけないと踏んばる。
乙女は中学に入って、したくてしたくてしょうがない。
最初はたまにするキスだけ。それがいつしか回数が増え、スキンシップが増えていき。
描かれているのはほとんどが2人のシーンなのでだいたいイチャイチャしているが、度がすぎた場合、見つかったら少なくとも先生は法律的に一発アウトだ。

下巻はただ「いっしょにいたい」ではいけない、現実的にどう生きていけばいいかを真剣に掘り下げている。
「私たちはいっしょにいても結婚できるわけじゃないし子供もつくれない。2人で生きていくためには手に職をつけなきゃ」と湊は、乙女を諭す。

湊が「自由」について語るシーン。乙女には「自分で落とし前をつけるってこと」だという。もしキスしているのをだれかに見られたら、保護者の湊が責任を取って先生を辞めることになる。
「乙女が大丈夫だと思うなら私もそれを信じる」
湊なりの誓いの言葉だ。

これが、2人の信じた自由の信念の基盤になる。
乙女と湊が後半、「恋愛」という自由を享受するため、仕事、勉強、法的証明などたくさんの責任を背負っていく。
年の差恋愛物語は、力強い大人の女性たちの人生設計物語へと変わっていく。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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