日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』
『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』 第3巻
オーサ・イェークストロム KADOKAWA ¥1,100+税
(2017年3月16日発売)
人気4コマエッセイシリーズの最新作だ。
著者は日本のアニメやマンガが大好きなスウェーデン人女性である、オーサ・イェークストロム。
今巻では定評のあるかわいらしい絵が、フルカラーで楽しめる。
朝日新聞「be on Saturday」の連載で様々な日本文化を体験した記録もあり、著者の世界はさらに広がっていく。
そば打ち、食品サンプルづくりなどやってみたくなるものから、果敢すぎる“野宿”(指南したのは本誌・WEBでも活躍中のかとうちあき氏)まで……。
そのなかで、ごく普通のやりとりに潜む“分かりにくい表現”や“男女差別”に気づかされてドキッとする。
また、日本で最近新しく入った言葉“LGBT”については、スウェーデンでは活動がさかんなため、著者は喜んだものの、彼女と話した日本の当事者が否定的な反応を示したことについてのレポートもある。 著者は謙虚に反省しているものの、安易に海外の横文字を当てはめがちな日本人の悪癖についても考えさせられる。
帰省したスウェーデンのクリスマスについても描かれるが、本格的でシックな料理や飾りつけが素敵。商業主義に走りすぎた感のある日本のクリスマスに辟易している人は、取り入れてみてはいかがだろうか?
また、おなじみの日常の不思議エピソードも。とりわけインパクトが強いのは“傘袋”について。著者だけでなく、外国人には“あるもの”に見えてしまう、とのこと。
来たるべき東京オリンピックに備えて、使用済みのものを不用意に落とさないようにしなければ……。
6年ほど日本に住んだ著者の変化も興味深い。
あいかわらず妖精のようにかわいらしいが、北欧女子らしい自分の芯もしっかり持っている。
彼女に好かれる日本でありたい、と強く思う。
<文・和智永妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWEB記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生に関わる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。